みんなの健康Q&A
胃の病気(下)−逆流性食道炎
食道の粘膜に慢性の炎症、完治に8週間
Q:逆流性食道炎とはどんな病気ですか?
A:お酒を飲み過ぎた後や脂っこい食事をした後に、誰でも多かれ少なかれ胸やけなどの不快感を覚えたことがあると思います。これは、アルコールや脂っこい食事により胃酸の分泌が活発になり起こる症状です。この様な症状の多くは一時的なもので、日常的に感じるようになったら病気の可能性があります。胃酸はPH1の強酸です。何らかの原因で胃酸がひんぱんに食道に逆流するようになると、食道の粘膜に慢性の炎症が起こるようになります。これが逆流性食道炎という病気です。 Q:どんな症状がありますか? A:逆流性食道炎でもっともよくみられる症状は胸やけです。みぞおちから胸の下にかけチリチリと焼けつくような感じがしたり、胸のあたりがしみる感じという人もいて、症状にも個人差があります。また、ゲップがひんぱんに起こったり、すっぱい胃液がのどや口までこみあげてくることもあります。さらに食べ物がのどにつかえる、飲み込みにくい、のどがイガイガする、しつこいせきが出る、胸が締めつけられるなど、さまざまな症状を訴える人もいます。 Q:なぜ、胃酸の逆流が起こるのですか? A:それは食道への逆流防止機能が、うまく働かなくなることによって起こります。食道は、長さ22〜25センチ、太さ1〜2センチの管状の消化管で、横隔膜にあいた穴を突き抜ける形で胃とつながっています。横隔膜は食道の下部を締めつけています。食べ物が入ってくると、食道は筋肉を伸び縮みさせ、波のような動きをくりかえす蠕動運動をしながら、食べ物を下へ下へと送ります。この蠕動運動は、たとえ胃酸が逆流しても、胃酸を胃に戻します。次に、食べ物の刺激が食道の下まで伝わると、下部食道括約筋というバルブのように胃の入り口を締めつけている輪状の筋肉が緩み、反射的に開いて、胃が食べ物を受けつけます。その後、下部食道括約筋により、再び胃の入り口が締まり、胃から食道へ逆流しないように働きます。これらの逆流防止機能がさまざまな原因によって働かなくなることにより、胃酸の逆流が起こります。 Q:逆流性食道炎はどのように診断しますか? A:内視鏡検査で診断するのが最も一般的です。内視鏡は、食道の粘膜を直接観察することができ、炎症などによる粘膜の障害がみられれば、逆流性食道炎と診断できます。また、最近、GERD(ガード)=胃食道逆流症という概念が導入されつつあります。これは、ひどい胸やけなどの症状があるのにもかかわらず、内視鏡検査をしても何の異常も認められないという人のことを指します。 Q:どのように治療するのですか? A:逆流性食道炎は、胃酸が慢性的に食道へ逆流して起こるのですから、プロトンポンプ阻害薬、H2ブロッカーといった胃酸分泌抑制薬の内服が基本となります。薬を飲めばだいたい1〜2週間ほどで自覚症状はなくなりますが、食道粘膜の炎症を完全に治めるには8週間程度かかると言われています。自覚症状がなくなったからといって、自己判断で勝手に薬の服用をやめてしまいますと、多くの人で再発がみられます。薬は指示どおりきちんと飲み続け、炎症を完全に治め、それを維持することが大切です。 Q:日常生活上の注意点などはありますか? A:まずは食生活を見直すことが一番大切でしょう。暴飲暴食は胃酸の分泌を増やし、症状を悪化させる原因です。具体的には、アルコール類の飲みすぎ、フライ、天ぷらといった脂っこいもの、ケーキ、あんこなどの甘いもの、みかん、パイナップルなどの酸っぱいもの、極端に香辛料のきいたものなどが、胃酸の分泌を促します。また、食後は胃酸が多量に分泌されますので、横になると食道に胃酸が逆流しやすくなります。寝る前の2時間は、できるだけ物を食べないようにし、寝る時は腰から上の上半身を高くして寝るようにしましょう。次に、おなかを圧迫する姿勢や服装も、胃酸の逆流を起こしやすくします。きついベルトや帯、コルセット、前かがみの姿勢、肥満、便秘、重いものを持ち上げる作業などは要注意です。(京都市南区東九条明田町39、TEL 075・681・4848) |