月間平壌レポート 2002.10
「外の天気がどうであれ統一列車は走る」
揺るぎない北南協力の流れ
米国の強攻策に憤慨
10月17日、米国務省の発表により、米国内や日本、南朝鮮などで朝鮮の核問題が「焦眉の問題」として浮上した。 発表の内容は3日から5日まで米大統領特使として平壌を訪問したケリー次官補の「報告」に基づいている。今のところ朝鮮側からは今回の核問題に対する直接的な言及はないが、ケリー次官補の訪朝に対しては次のような立場を表明した。すなわち、米国の特使が「憂慮事項」なるものを示しながら、核およびミサイル、通常兵器、人権問題などについての米国の要求を朝鮮が先に解決しなければ、朝米関係や朝・日、北南関係も改善されることはないと、高圧的かつ傲慢な態度をあらわにした。しかし「米国が持ち出してきた憂慮事項なるものはすべて対朝鮮敵視政策の産物である」というものだ。 取材現場で会う北南対話の関係者たちも同じような意見を述べた。「われわれは、相手が強硬にでるのなら超強硬策で応じる、敵視政策を続けるのであれば、相応の処置を講じると何度も警告してきた。」 彼らは「米国が朝鮮を圧殺しようとしているのに、万全の態勢を整えるのは当然のこと」だと主張した。 朝米関係はクリントン政権の末期にオルブライト国務長官が平壌を訪問、クリントン大統領の訪朝が予定されるまで進展した。しかしブッシュ政権発足後、前政権下での合意に対する「見直し」が始まり、朝鮮を「悪の枢軸」と呼ぶ敵視政策が強行された。米国は朝鮮を先制核攻撃対象国にも指定した。 朝鮮と米国の敵対関係の解消。それが懸案解決の道筋である。しかし国務省の発表以後、米国は「対話による解決」を標榜する一方、自国の責任については何ら語ることなく、「朝鮮側がまず懸案解決のための行動をとるべき」との圧力を強めている。 これに対し朝鮮側は「米国が(朝鮮を)強権で押さえ付けようとする立場を引き続きとるなら、われわれも強硬対応の度数をさらに高めるだろう」(労働新聞)と警告している。 市民たちも米国大使の平壌訪問が両国の対立を表面化させる結果に終わったことについて「朝鮮半島に平和と民族和解の流れが押し寄せるたびに、米国は邪魔をしてきた」と憤慨していた。 民族和解の雰囲気
朝米関係とは対照的に、北南関係は9月に引き続き10月も活発な対話と交流があり、和解と団結の雰囲気はさらに盛り上がっている。 第14回アジア競技大会のもようは、北と南の選手が統一旗を先頭に共同入場し拍手喝采をあびた開会式をはじめ、連日夜のテレビで放映された。ある市民は寝不足気味だったが「まるで統一が実現したようだ」と興奮した口調で語っていた。 10月には、分断史上初の青年、女性の統一行事、開天節記念行事など多くのイベントも催された。 こうした雰囲気の中で行われた第8回北南閣僚級会談(19〜23日)は、米国が発表した、いわゆる核問題との関連で注目を集めた。 20日に開かれた1回目の全体会議。「うれしい気持ちで平壌に来るはずだったが、重たい気持ちで来た。今日の天気のようだ」南の首席代表の発言は、会談の難航を予想させるものであった。ちょうど1年前、朝鮮半島情勢が緊張する中で行われ、決裂した第6回会談の記憶が脳裏をよぎった。 しかし「6.15共同宣言とともに、とぎれた民族の血脈と地脈が結ばれる今日の歴史的流れは、誰にも止めることはできない。」(北側団長)今回の会談では、双方が共同宣言履行のために引き続き努力し、当面の問題を解決するための合意がなされた。 北側団長は「外の天気がどうであれ、統一列車を力強く走らせよう」と訴え、民族同士力を合わせることを何度も強調した。 10月に入り、平壌市内の空気はめっきり冷え込んでいる。最近コートを着た市民たちが目立ちはじめた。朝の気温は0度近くまで下がっている。 「わが民族同士力を合わせていけば、もっともっと統一に近づく。今後もきっといいことがあると信じています」。今回の北南閣僚級会談の結果に対する市民の声。統一に対する人々の想いはさらに熱くなっている。(姜イルク記者) |