始めてみよう朝鮮将棋(1)

7種32枚使用、将の逃げ場ふさぐ


◆駒の呼び方、並べ方◆

 朝鮮将棋をまったく知らない人にとってまず壁となるのは、駒の動かし方となるでしょう。しかし、逆に駒の動かし方とゲームの終了(どうすれば勝てるのか)さえわかれば、強い弱いに関係なくゲームを楽しむことができます。

 そこで今号から週1回、朝鮮将棋の手ほどきを解説していきます。初回は、朝鮮将棋とは何か、駒の呼び方、並べ方と盤面の読み方について述べてみたいと思います。

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象と馬の入れ換えは自由です。ただし、馬・馬、象・象という並べ方はできません。後手の漢側が先に入れ換えてから先手が入れ換えます。この特徴によって、いろいろな駒組と戦法の組み合わせができ、多彩なゲームを展開することができるのです

 まず朝鮮将棋は、7種32枚の駒を使って2人で行うゲームです。先手と後手を決め、1手ずつ交互に駒を進め、相手の将(チャン、将軍という意味、先手は楚=チョ、後手は漢=ハン)の逃げ場を早くふさいでしまった方が勝ちとなります。日本将棋は王手ですが、朝鮮将棋は将也(チャンイ)などと呼びます。どちらの将も詰ませられなくなったら引き分けです。

 駒を取ったり取られたりするのは日本将棋やチェスと同じですが、日本将棋のように取った相手の駒を使うことはできません。自らの思考力を啓発し、大局としては大胆に、そして細にいたっては妙理をつくして勝敗を決める、痛快さを楽しむものと言えます。

 競技をする場合、事前に次の手を打つまでの持ち時間を10秒、30秒、1分などと決めておき、3戦2勝で勝敗を決するのがよいでしょう。

 駒は、将(漢と楚、各1枚)と、車(チャ)、包(ポ)、馬(マ)、象(サン)、士(サ、以上各2枚ずつ)、それに漢側の兵(ピョン)、楚側の卒(チョル、各5枚)の7種類があり、将が最も大きく、車、包、馬、象は同じで、士と兵(卒)はこれらより小さいものを使います。

 朝鮮では昔から老紅少青といって、年長(強者)が赤い字で書いてある「漢」を、年少(弱者)が青い字で書いてある「楚」を持つようになっています。「弱者先手」のとおり、「楚」が先手となります。

 盤は横線10本、縦線9本の線を引き、写真のように線が交差するところに駒を並べます。ただし馬と象は場所を入れ替えることができますが、馬・馬、象・象という並べ方はできません。この特徴によっていろいろな駒組と戦法の組合せで多彩なゲームを展開することができます。

 また日本将棋と違うところは、漢と楚、士が入る宮城があることです。宮城内は斜めにも線があります。

 横線は左上側を起点にして漢字で一、二…十と、縦線は左側を起点にしてアラビア数字で1、2…9と表示します。番号は実際の盤にはありませんが、駒の位置を示すのに使います。符号は祖国分断の悲劇により、地域によって表記の仕方が異なりますが、ここでは朝鮮で採用されている漢数字と算用数字を使って説明します。符号は横線の漢字を先に表示し、縦線を後で読みます。移動手順を例えれば、「五3馬三4へ」というふうに呼びます。(朴健治・京都社協顧問、次回は駒の動かし方1)

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