過去知り、違い認め合うことから

映画「渡り川」上映と在日コリアン、日本の高校生によるトークライブ


 12日、東京・新宿で「映画『渡り川』上映と日本・在日韓国・在日朝鮮高校生によるトーク・ライブ」が行われた。日本の植民地支配を背景に持つ在日3世、南朝鮮からのニューカマー、日本の高校生が初めて一堂に会し、それぞれの思いを述べた。朝・日首脳会談を通じて「平壌宣言」が発表され、釜山アジア大会に北側の大選手・応援団が参加するなど朝・日関係、南北関係が大きな転換期を迎えているなかで開催されただけに、人々の関心も強かった。過去の歴史に真しに向き合い、互いを認め合おうとする積極的な発言に、歴史認識問題、祖国統一への共通した思いが浮き彫りになった。
(李明花記者)

焼肉やキムチのように

 イベントは、「日本とコリアの交流の歴史を理解するための交わりの場」として昨年12月、東京・新宿にオープンした、NPO法人「高麗博物館」(宋富子館長)の主催で行われたもの。日本の高校生たちが植民地時代の歴史と向き合い、朝高生、南朝鮮の学生たちと友情を築いていく過程を追ったドキュメント映画「渡り川」の上映後、東京朝鮮高、東京韓国学校、私立和光高の3校の高校生がそれぞれ発言した。

 まず東京韓国学校の辛ラ永くん(高2)が、「朝鮮の植民地支配に対してどう思うか」と質問すると、高校の部活動で「平和ゼミナール」に参加している和光高の白木真帆さん(高2)は、「侵略の歴史は2度と繰り返してはいけないこと。植民地時代、日本が犯した強制連行などの事実を教科書できちんと教えられないこと自体許せないが、映画の高校生たちのようにこれからもゼミなどを通し、自ら知っていく努力をしていきたい」と答えた。

 知り合いに今イベントへの参加を反対され、身近なところに依然偏見や差別があることを実感したという、同じく和光高で平和ゼミ生の関口嶺くん(高2)は、「朝・日首脳会談以降、在日コリアンへの嫌がらせが相次いでいるというが、焼肉やキムチなどコリアの食べ物を知ってこそその国の食文化を好きになれるように、過去の歴史を知ってこそ相手の国や民族を理解できるし、そのような嫌がらせもなくなると思う」と述べた。

 朝・日間の情勢が不安定になるたび、「朝鮮へ帰れ」などの嫌がらせが絶えないという東京朝高の呂明徹くん(高3)も「なぜ僕たちが日本にいるのかという過去の歴史をもっと知ってほしい」と訴えた。

思いは同じ「ひとつの民族」

 最近では釜山アジア大会に史上最高となる600余人の選手、応援団が「万景峰92」号で南入りし、朝鮮籍の在日同胞も応援団として南を訪問するなど、かつては考えられなかった北南間の民間交流が行われているなか、発言は朝鮮半島の統一問題にもおよんだ。

 東京韓国学校の安奎相くん(高2)は、「韓国にいる時はそれほど思わなかったが、日本に来てチョゴリ姿の朝高生たちを目にするうちに北も南も同じ民族であり、必ず統一されなければいけないとの思いを強くした。統一したら金剛山に行ってみたい」と心境の変化を語った。

 民族教育史上初めて「在日朝鮮学生少年芸術団」の一員として9月、南朝鮮を訪問した東京朝高の「瑛姫さん(高3)は、「祖父母も踏むことができなかった故郷の地を初めて踏み、『ひとつの民族』を実感できた。1日も早く自由に行き来できる日が来てほしい」と述べた。

 宋館長は、「このような時期だからこそ、それぞれの国や民族の若者たちが互いの過去を知り、違いを認め合っていける『顔と顔が見える交流』が大切。今回のイベントを出発点に、在日コリアンと日本市民が手を取り合う、希望と平和に満ちた新しい未来を築いていきたい」と語っていた。

日本語版TOPページ