「核問題」と関連した朝鮮外務省代弁人談話
「核問題」と関連して25日に朝鮮外務省スポークスマンが発表した談話は全文次の通り。
合意順守しないのは米国 新世紀に入り、朝鮮半島と東北アジア地域の情勢には新たな画期的な変化が起きている。 北南、朝ロ、朝中、朝・日関係は新たな重要な時期を迎え、半世紀以上途切れていた北南鉄道の連結や、日本との過去の清算をはじめとする20世紀の古い遺物をなくすための大胆な措置が取られた。 われわれは変化した現情勢とわれわれの具体的実情に合わせ、経済管理でも一連の新しい対策を講じ経済特区を設置するなど、経済活性化のための措置を引き続き講じている。 こうした事態の発展はすべて、アジアと世界の平和に対する実践的寄与となる。 したがって、米国を除く世界のほとんどの国々がこれを支持歓迎し、われわれはここから大きな鼓舞を得た。 こうした中でわれわれは、米国とも敵対関係を根源的に解消し、平等な立場から懸案問題を解決できるであろうとの期待を抱き、先日米国大統領の特使を受け入れた。しかし、遺憾なことにわれわれは特使の訪問を通じ、われわれを力で圧殺し朝鮮半島と東北アジア地域での肯定的な情勢発展を逆転させようとのブッシュ行政府の敵対的企図が、絶頂に達していることを確認することになった。 米国特使はなんの根拠資料もなしに、われわれが核兵器製造を目的に濃縮ウラニウム計画を推進し、朝米基本合意文を違反しているとの言いがかりをつけながら、それを中止しない限り朝米対話もなければ、とりわけ朝・日関係や北南関係も破局状態に陥るとした。 あまりにも一方的で傲慢無礼な米国の態度には、驚きを禁じえなかった。 しかし、こうした盗人猛々しい強盗の論理がわれわれに通じるだろうと考えたのならば、大きな誤算だ。 朝鮮半島の核問題について言えば、およそ半世紀前から米国が世界制覇戦略に沿って対朝鮮敵対視政策を追求しながら、南朝鮮とその周辺地域に膨大な核兵器を備蓄し、小国であるわれわれを核兵器で脅迫してきたことから生まれた問題である。 1994年10月、朝米基本合意文が採択されたが、米国はその履行問題についてはすでに発言する資格を喪失している。 基本合意文の第1条に沿って、米国がわれわれに軽水炉発電所を2003年までに提供する代わりに、われわれは黒鉛減速炉とその関連施設を凍結することになっているが、われわれが核施設を凍結してから8年が経つこんにちまでも、軽水炉は基礎工事を終えたに過ぎない。 これにより、われわれは軽水炉1号機が完工する計画であった2003年には年間100万キロワット、その翌年からは年間200万キロワットの電力損失だけを被ることになった。 基本合意文第2条に沿って、双方は政治および経済関係を完全に正常化する方向に進むはずであったが、過去8年間、米国の対朝鮮敵対視政策と経済制裁は継続されており、こんにちに至ってはわれわれを「悪の枢軸」として攻撃するまでに及んだ。 基本合意文第3条に沿って米国は、核兵器を使用せず核兵器による威嚇もしないという公式的な保証をわれわれに提供することになっていたが、米国はそうした保証提供の代わりに、われわれを核先制攻撃対象に含めた。 基本合意文第4条と合意文に付属する非公開了解録第7項に沿って、われわれは軽水炉の「タービンと発電機を含む非核部分の納入」が完全に実現した後に核査察を受けることになっていたが、米国は当初から核査察を受けなければならないという一方的な論理を持ち出し、あたかもわれわれが合意文を違反しているかのように国際世論を誘導した。 今回われわれはこのように非公開了解録を初めて公開しなければならなくなった。 結局、基本合意文の4条項のうち米国が順守したものはひとつもない。 米国が合意文を採択する時に履行の意思を持っていたのか、あるいはわれわれがそのうちに崩壊すると踏んでウソのサインをしたのかは米国だけが知っていることだ。 自主権、生存権 脅威の除去 しかし、ブッシュ政府がわれわれを「悪の枢軸」と規定し核先制攻撃対象に含めたのは、われわれに対する明らかな宣戦布告であり、朝米共同声明と朝米基本合意文を完全に無効化したものだ。 ブッシュ政府は、われわれに対する核先制攻撃を政策化することで、核拡散防止条約(NPT)の基本精神を踏みにじり、北南非核化共同宣言を白紙化した。 ブッシュ政府の無謀な政治、経済、軍事的圧力策動により、われわれの生存権は史上最悪の脅威を受けており、朝鮮半島には深刻な事態が到来することになった。 こうした状況下で、われわれが座視していると思えば、これほど単純な考えはないだろう。 われわれは米大統領特使に、増大する米国の核圧殺脅威に対処し自主権と生存権を守るため、核兵器はもちろんそれ以上のものも持つことになるであろうことを明白に述べた。 自主権を生命より大事にするわれわれにとって、米国の傲慢無礼な行動に対する答えとしてこれ以上妥当なものはない。 われわれが武装解除しなければ攻撃するという米国に、なんら事実を解明する必要はなく、その義務はなおさらない。 しかし、われわれは最大の雅量をもって、米国が第1にわれわれの自主権を認め、第2に不可侵を確約し、第3にわれわれの経済発展に障害をもたらさないという条件で、この問題を協商を通じて解決する用意があることを明らかにした。 現在、米国と一部の追従勢力はわれわれが武装を解いた後に協商しようとの主張を展開しているが、これはとても非正常な論理である。 われわれが丸腰になるなら何をもって対抗するというのか。 それは結局、われわれに屈服しろということだ。 屈服は死である。 死を覚悟したものにかなう者はいない。 これが、先軍政治を最後まで掲げようというわが軍隊と人民の信念であり、意志である。 われわれの立場は終始一貫している。 朝鮮半島に醸成された深刻な事態を打開するために、われわれは朝米間で不可侵条約を締結することが、核問題解決のための合理的かつ現実的な方途になると認める。 米国が、不可侵条約を通じてわれわれに対する核不使用を含む不可侵を法的に確約するのであれば、われわれも米国の安保上の憂慮を解消する用意がある。 小国であるわが国にとって、すべての問題解決方式の基準は、自主権と生存権に対する脅威の除去である。 この基準を満たすためには協商の方法もありえるし抑止力の方法もありうるが、われわれはできる限り前者を望んでいる。(朝鮮通信、中見出しは編集部) |