春・夏・秋・冬

 横田めぐみさんの娘、キム・ヘギョンさんが時折り涙を流しながらインタビューに応じる姿は、見ていてつらかった。15年間いないものと思ってきた祖父母が日本に住んでおり、母は日本人で実は拉致された…。9月17日以降、次々と聞かされる話は、15歳の少女が受け入れるにはあまりにも重いものだったに違いない。それだけに、母親との思い出話をする時と祖父母の写真を見た時の笑顔にはほっとさせられた

▼今回のインタビューは、平壌を訪れている日本のマスコミ3社の要請に応じて、朝鮮対外文化連絡協会(対文協)がキムさん本人の承諾を得て設定された。「各社が自由に質問する形で進められた。対文協の関係者は通訳として立ち会ったが、質問を制限したり、記事をチェックしたりはしなかった」(朝日新聞26日付)という

▼朝鮮側は、キムさんと祖父母の横田さん夫妻との面会方法、5人の被害者の家族を含めた永住帰国問題などは、「本人の希望で解決する問題」との立場を明確にしている。事実、5人の早期帰国など日本側の求めには迅速に応じてきた

▼「何の罪もない公民を拉致したことは糾弾されて当然」(朴龍淵・外務省アジア局副局長)との立場からだ。にもかかわらず、「横田さん夫妻の訪朝を仕向けるための会見」とのうがった見方がある

▼祖父母に1日も早く会いたいという15歳の少女の思いをどうして素直に受け止めないのか。朝鮮側はどういう形で会うかは「本人の希望で解決する問題で関与しない」としている。それをあれこれ言うことには「政治的意図」を感じる。(聖)

日本語版TOPページ