私たちのうた

姜舜


冷たい雨にもうち勝ち

 冷たい雨降る
 異国の港
 ―横浜 駅頭に立てば
 私の目に飛び込む
 幼き君たち

 おとといも
 きのうも 見た君たちだけど
 あのたくさんの学生たちのなかで
 明るいあいさつ
 明るいえがおの君たちが
 飛び込んでくる私の胸の中へ

 冷たいキムチ汁を
 ただかきこんできた君たちが
 目で耳で
 鼻で走りよってくるとき
 私の心臓は火花を散らし高鳴る

 在日同胞のこどもを任された
 私の目は瞬時にさめ
 心の扉が大きく開け放たれる

 コートがなくて手足が赤くはれ上がった君は
 おいで、私の大きなコートの中へ
 傘がなくて雨にうたれた君は 
 異国の忌まわしい雨をさえぎる
 私の傘の中へ おはいり
 肩が半分 ぬれたとしても
 幼き勇士たちよ
 上り坂 駆け上がるわれらは
 冷たい雨も
 冷たい風も 打ちかってゆこう
 60年代の坂も
 こうやって みんなで一緒に走ってゆこう
(1960年)(訳・全佳姫)

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