大阪・愛知、署名運動大詰め
11月、文科省に提出へ
文部科学大臣、自治体首長らに朝鮮学校の処遇改善を求める署名運動が行われている大阪、愛知で運動が大詰めを迎えている。11月中にも文部科学省を訪れ、差別解消を訴える。広島でも朝・日教育関係者による「民族教育の未来を考える・ネットワーク広島」が5万人署名を始めた。各地では、地域住民を対象にした公開授業や勉強会、自治体に対する要望を強化し、運動を盛り上げている。
大阪 大阪では在日朝鮮人民族教育大阪府対策委員会が@朝鮮・中華学校を学校として正式に認可A私学と同等の助成金B寄付金の損金扱いC民族学級の制度的保障―を求める署名運動を進めている。提出先は文部科学大臣、大阪府知事、大阪市長で、現在13万5000人分が集まった。同対策委は6月に府下すべての朝鮮学校で一般公開授業を開いて地域に学校を開放、1000人が訪れた。 運動が始まって以来、各学校ごとに街頭署名を企画。保護者らが仕事や子育ての合間をぬって精力的に署名を集めてきた。9月17日に日本人拉致事件が明らかになってからは、朝鮮学校生徒に対する暴言・暴力が続いたことから、街頭署名を自粛した地域もあるが、同胞たちは近隣の日本市民や職場の同僚に引き続き呼びかけている。北大阪朝鮮初中級学校保護者の趙亜紀さんは1人で3000人分を集める熱心さだ。 日本市民らも協力を寄せており、自治労大阪、大阪府教職員組合、部落解放同盟大阪府連合会などが組織をあげて支援している。 大阪では94、96年に続く3度目の署名運動だが、今回は大阪中華学校も合流しており、文科省への要請にも同席する予定だ。 愛知
愛知では在日朝鮮人民族教育愛知県対策委員会が、文科大臣、愛知県知事、名古屋市長に対して@私立学校並みの教育助成A朝高卒業生に対する国立大学受験資格―を求める10万人署名運動を進めており、全体として6万人分を集めた。他地域と同様、日本人拉致事件の影響は無視できないものになっているが来月10日、私立学校関係者10万人が集まる「県民文化大祭典 ドーム2002」でも最後のスパートをかけ、目標を達成させるという。 この間、愛知中高、東春初中、愛知第7初級では公開授業が開催され、国会・県・市議会議員や自治体の首長と関係者、日本学校教員らが訪れた。自民党県議員団私学振興議員連盟と国際交流推進議員連盟の共催で朝鮮半島情勢に関する講演会と朝鮮学校への助成金問題に関する意見交換会も行われ、今月10日には、「日朝教育・文化交流をすすめる愛知の会」(最高顧問=海部俊樹元首相)が県知事と名古屋市長に要望書を提出。朝鮮学校保護者の負担を軽減する助成金の充実を訴えた。 広島
広島では9月22日に結成された「民族教育の未来を考える・ネットワーク広島」(代表=呉朝鮮問題研究会の三上孝司さん)が署名運動を進めている。同ネットワークは、呉朝鮮問題研究会、在日コリアン広島―児童生徒進路保障会議、県教職員組合や広島朝鮮学園保護者会、在日朝鮮人教職員同盟など朝・日8団体がメンバー。朝・日平壌宣言にある「在日朝鮮人の地位問題を誠実に協議する」との記述に注目し、民族教育権確立の条件を整備しようと結成された。 活動の第1弾が署名運動で、文科大臣に対し、外国人学校の正式な認可、教育助成における不利益の解消、民族学級の設置を求めている。11月中旬までに署名を集め、12月に文科省に提出する。 16日から19日にかけては広島朝鮮初中高級学校を開放しオープンキャンパスを開催。300人の日本市民が同校を訪れ、民族教育に対する理解を深めた。 |