「朝・日フレンドシップIN神戸」を開催して

相互理解の必要性実感

河忠孝


 「従軍慰安婦」問題をテーマに「朝・日フレンドシップIN神戸―歴史の真実を知ること、伝えることの尊さを学ぶつどい」が10月19日、兵庫県中央労働センターで開催された。

 そもそもこの行事は、兵庫で予定されていた「朝鮮人強制連行真相調査団第7回全国交流集会」という国際シンポジウムの分科会のひとつとして催されるはずだった。しかし、朝・日首脳会談以降、日本人拉致問題が連日報道されるなか、朝鮮や在日コリアンへの中傷、暴言が相次ぎ、被害者のハルモニ、ハラボジの訪日が見合わされてしまった。そして交流集会自体も延期になるという最悪の結果となり、資料、交流会などの準備を進めていた私たちも複雑な気持ちになった。

 被害者の方々がさらに傷つけられるようなことがあってはならない。しかし歴史の清算にまったく眼を向けようとしない状況があるのに対して何らかの声をあげていかなければならない。そのチャンスである交流の場をなくしてはならないと感じ、留学同主催で今回の「朝・日フレンドシップ」を開くことにした。

 当日は60人を超える在日コリアン、日本の人々が集まり、会場はほぼ満員となった。第1部では「従軍慰安婦」問題の第一人者でもあるフォト・ジャーナリストの伊藤孝司さんを講師に招き、スライドやビデオを交えながら、元「従軍慰安婦」のハルモニたちの体験を事細かに語ってもらった。

 私自身ハルモニの証言ビデオを観るのが初めてで、非常にショックを受けた。涙ながらに過去の忌まわしい思いを語るハルモニの映像に、過去に日本軍が行ったことがどんなに酷かったのか、われわれの民族の女性がどれほどまでに屈辱を受けたのかといういうことを思い、悔しくて仕方なかった。日本の教育機関ではこのような歴史の事実を子どもたちに教えていない。いまだに補償をしない日本政府に対して、憤りを感じてならなかった。

 2部では「従軍慰安婦」問題を中心に伊藤さんと留学同兵庫の学生、ピースボートの代表がディスカッションを行った。意見を交換し合いながら、朝鮮人と日本人が過去の歴史を知り、そしてその真実をより多くの人に伝えていくことが大事なのではないかという共通の認識を持つことができた。とくに過去の植民地問題を「歴史」としてしか知らない僕たち若い世代は被害者の証言を聞くこと、そしてそれを自分の痛みとして感じることが重要であり、そこから何らかのアクションを起こさなければならないということを強く感じた。

 国交が樹立されていない朝・日間には「従軍慰安婦」問題をはじめとしてさまざまな問題が未解決のまま残っている。その解決のために、謝罪や補償を日本政府に求めていくこと、そして今回のような場をこれからも提供していくことが必要だ。こういった場で語り合い、訴えかけること、それが僕たち学生にできることだと思う。朝・日間に横たわる根本問題と真剣に向き合い、両国間の相互理解の必要性をさらに感じた貴重な体験だった。(神戸大学4年)

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