朝・日国交正常化会談

朴副局長が語った基本的立場


 【クアラルンプール発=姜イルク記者】今回の朝・日国交正常化交渉における双方の見解の差と朝鮮側の基本的立場について、朝鮮外務省アジア局の朴龍淵副局長に聞いた。

 【基本的立場】

 今会談は、9月17日に平壌で行われた朝・日首脳会談の結果採択された朝・日平壌宣言履行のための会談であっただけに、われわれは慎重にかつ真摯(しんし)な姿勢で臨んだ。

 会談で朝・日双方は国交正常化と関連した問題を真摯(しんし)に討議した。

 双方がそろって国交正常化を目指すという立場を表明し、これが共通点と言えるが、推進方法では大きな差が露になった。日本側は安保問題と拉致問題を解決したうえで国交正常化を実現するという立場だった。

 われわれは国交正常化をまず実現してこそ、日本側が憂慮している安保問題の順調な解決に寄与するとの見解と立場を表明した。

 【安保問題】

 安保問題の決定的な解決は朝米関係の改善だ。しかし、朝・日関係が正常化されれば朝米関係の解決にも肯定的な影響を与えるだろうし、ひいては安保問題の解決にたいへん有利な環境を作り出せるというのがわれわれの見解である。

 日本は、米国が朝米関係改善に肯定的に臨むよう働きかける役割ができるという点から見ると、日本とも安保問題を協議する余地はあると思う。しかし、朝・日間では安保問題の直接的かつ決定的な解決は期待できないと見ている。

 朝・日間で国交正常化を実現した後、あるいはそれをまず実現していく過程においてこそ安保問題が速やかに解決されるとのわれわれの立場は、朝・日平壌宣言の基本精神に合致するばかりでなく、問題解決に接近できる現実的方途と見ている。

 朝・日国交が樹立されてこそ、活発な交流が進み相互理解が深まり、この過程で強固な信頼関係が形成される。互いに信頼せず、相互不信の状態でどのように安保問題が解決されるのか。

 【拉致問題】

 日本側が順調に解決しつつあった拉致問題を複雑にしているのは、われわれに対する根拠のない不信感に基づいた行動であり、芽生えはじめた朝・日間の信頼関係を危険な状態に陥れた。

 拉致問題は、われわれが事実を認めたのに基づき謝罪表明、責任者処罰、再発防止の約束など本質的な問題を解決したので、事実上解決したと見ることができる。

 残っている問題は実務的な問題で、後続措置と関連したものなので実務レベルでいくらでも解決できる。

 朝・日首脳会談の結果としてもたらされた両国関係の転換的な雰囲気の中で、一つひとつ協議していけばいくらでも当事者の意思に沿って解決できる問題を、日本側がいかなる目的から政府間の合意と信義をやぶり、この問題を複雑にしたのか、またこれを今会談の優先議題として上程させたのか、とても納得できない。

 われわれは、日本側が真にこの問題の速やかな解決を目指すのであれば、今からでも欠如した信頼関係、約束関係を原状回復するという意味で、日本にいる5人の生存者を朝鮮に戻し、彼らが家族と将来の問題を自主的な判断に基づいて決められる環境を作るべきだと思う。

 【核開発計画問題】

 日本側はわれわれに核開発計画について解明するよう要求した。

 われわれは今会談で、米国が朝鮮を核先制攻撃対象に含めている危険な状況では、これを解明する必要と義務はないとの立場を明白にした。

 また、米国がわれわれの安全を保障する実質的な行動として、われわれが提案した不可侵条約の締結に応じれば憂慮事項を解決できるとの立場などを込めた10月25日付の外務省スポークスマン声明の内容について説明した。

 【今会談の意義】

 今会談を通じて朝・日双方は朝・日平壌宣言が採択された以後、会談に臨む基本的な立場を確認したと言える。

 今会談で双方の期待に満足できる結果は出ず、双方の間に見解の差があるが、平壌宣言を誠意をもって履行しようという互いの立場を確認したことが非常に重要だと認識している。

 われわれは、まず国交正常化を実現すれば他の懸案問題も順調に解決に向かうだろうし、有利な環境を作り出せるとの判断に基づき、国交樹立を優先させなければならないというわれわれの立場を日本側が正しく理解し、非常に慎重に受け入れることを期待する。

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