民族教育権 우리의 힘으로(われわれのちからで)
署名運動の現場から・広島
取り戻したい「本来の姿」
丁稔明(広島県立安芸高等学校職員)
9月22日、「民族教育の未来を考える・ネットワーク広島」が設立された。同ネットワークは、日本とコリアンの教育関係者と市民らが連帯し、日本社会における民族教育権の確立と条件整備のための取り組みを進めようというものだ。私は、真の国際平和・国際連帯教育を充実・発展させようと動き始めたこの団体の幹事を務めている。
最初の取り組みとして、朝鮮学校・外国人学校の処遇改善を求める署名運動をすることになった。近年広島では日本市民、教職員団体の協力のもと、自治体が在日朝鮮人の生活や民族教育に対する一定の理解と意欲を示すようになった。県は広島朝鮮学園を「1条校に準ずる学校」として認知し、それに伴う助成金を支給しており、高体連の準加盟も認められている。 しかし、国家レベルの対応は立ち遅れている。 朝鮮学校との最初の出会いは、大竹市の日本学校に通っていた18歳の時。朝鮮問題に取り組んでいた日本人の先生が「あなたの民族の学校がある」と教えてくれた。 初めて朝鮮学校の門をくぐった。朝鮮名を名乗り、朝鮮人として堂々と生きる姿。そして、大勢の仲間。「朝鮮人としての本来の姿がここにある」―。あの感動は忘れられない。 日本学校に通うコリアンの児童、生徒たちの多くは日本人の中で日本名を名乗り、自分の出自を隠している。それは彼らが日本人と日本社会が朝鮮人をどのような視点で見ているのかを肌で感じているからだ。民族名を名乗る朝鮮人教職員がいたり、朝鮮問題に取り組む教員が何かしらの働きをしてこそ、彼らは自分のルーツを少しずつ話し出す。 朝鮮学校は学校として正式に認められていない。これは明らかな差別の対象だ。だからこそ朝鮮学校を正式に認可することは、日本学校で学ぶコリアン児童・生徒に、「民族的自覚と誇りを持って生きること」に対して肯定的なインパクトを与えるだろう。 在日コリアンが自らのルーツを知り、アイデンティティーを確立するためには民族教育はなくてはならないものだ。 日本社会で民族教育が認知され、朝鮮学校の処遇改善を実現させるためには草の根的な運動で全国ネットワークを作り、各自治体や日本政府にねばり強く訴え続けることが重要だと思う。 |