取材ノート
9月18日、分会長は…
10月27日、都内のとある朝鮮初中級学校で行われたフェスティバルに参加した時のことだ。運動場に設置された野外ガーデンでは同胞たちが、彼らが属する分会での朝・日首脳会談直後の対応について感想を述べ合っていた。
話題の中心は分会長。日本人拉致問題が明らかになるなど不測の事態にとまどいを隠せない分会委員たちとともに会談翌日の18日、緊急集会を開いた分会長は「一番不安なのは同胞たちではないか。こんな時だからこそ彼らを勇気付けるためにも分会同胞たちの家を回ろう」と宣言したのだ。 当初は「余計信頼をなくすのでは」と尻込みしていた分会委員たちも分会長の言葉に励まされ、集会に集まったその足で管下の全同胞宅を回ったという。 「大丈夫ですか。子どもたちに何か被害はありませんでしたか」 マスコミの大々的な拉致報道などにやり場のない不安を抱えていた同胞たちにとって、分会長の「顔」と同胞の身を案ずるその言葉が、どれだけ彼らの心をほっとさせただろう。 「分会長、ありがとう」「分会長、本当にご苦労様です」…。 世代交代、経済不況など、同胞社会を取り巻く環境が複雑かつ厳しい状況になっているなか、分会が同胞生活の保護者となり、彼らの不安を拭い去る役割を果たしていくことが求められている。先に行われた「総聯分会代表者大会2002」ではそのような同胞社会の変化、ニーズに応えるため、@家族のような団欒A相互扶助、生活の安定を支える保護者的役割B愛族愛国精神あふれる分会像―が示された。 9月18日、分会長が取った思いやりあふれる行動は、大会で提示された「新しい分会像」そのものではないだろうか。 この日、分会長を囲んだ同胞たちの表情には、「ウリ(私たちの)分会」を愛し、信頼する気持ちがあふれていた。(花) |