春・夏・秋・冬

 先月末、身の不注意から足の甲を骨折してしまった。初めての経験である。幸い、ギブスをはめて2〜3日で外出の許可が出た。骨折当初はまったく身動きが取れず、身を横たえるだけの生活だっただけに、体重は増え体はなまる一方だった。これでは駄目だと、外出許可が下りたその日、松葉杖をつきながら勇躍、半径50平方メートル程度の至近距離での散歩を試みた

▼ところがこれが思ったより大変な事だった。まず外に出るためには階段を降りなければならない。住居は3階。古い作りだけにエレベーターはなく、単純に3カ所の難所が待ち構える。ようやく外地に出たと思えば今度は歩道、道路である

▼この時に初めて気づいたのだが、歩道、道路はほとんど舗装はされているものの、部分的に中央を起点になだらかな傾斜をなしている。それに段差。ギブスの裏には足の裏全体に力が分散するよう平たい突起がつけられているので、歩道、道路を歩くと体のバランスが崩れ、骨折していないもう一方の足に負担がかかってしまう

▼数日後、始めて出社した時の事。駅をはじめ行く先々、どこも階段だらけ。上っては降り降りては上る、この連続である

▼近年、これまで置き去りにしてきた高齢者、障害者問題に対する反省から、ようやく社会のバリアフリー化に力が注がれるようになった。目先の事に目を奪われていると全体を見失ってしまうものだが、健常者の視点から作られてきたこの社会。共生という当たり前の視点を根底に置き、片時も忘れてはならないという事を痛感した。(彦)

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