「いやがらせ続く今こそ応援」
朝鮮学校生徒が初出演、愛知「ドーム祭典」
愛知中高、東春初中、豊橋初級の児童、生徒200人が10日、県内の私立学校関係者10万人が集う「ドーム祭典2002」(主催=同実行委員会、私学をよくする愛知父母懇談会など、後援=愛知県、名古屋市など)に出演。日本の私立学校生徒とともに、「3000人群舞・ゴスペル」に出演し、朝鮮の踊りやチャンダンノリを披露した。朝鮮学校が「ドーム祭典」に参加するのは初めて。日本人拉致事件と関連して愛知でも朝鮮学校児童・生徒に対する暴言・暴力が続き、児童・生徒たちは体操着での通学や集団登下校を余儀なくされている。いわれない攻撃にさらされている朝鮮学校を応援しようと日本人教職員らが呼びかけ、実現した。
野外ステージでも
愛知中高と東春初中の中級部生徒160人は、日本の高校生や一般の市民らとともに「3000人ゴスペル」に出演。オーケストラの演奏をバックに「Amazing Grace」「We are the World」「Hail Holy Queen」「Joyful Joyful」をメドレーで、最後の「翼をください」は朝・日・英の3カ国語で同時に歌い上げた。朝鮮学校生徒は、朝鮮語と英語のパートを担当した。 「翼をください」は東海朝鮮歌舞団団員の高聖華、呉慶姫さんの熱唱から始まった。2人がまとったピンクと水色のチマ・チョゴリが華やかな舞台を彩り、朝鮮語ののびやかな歌声が会場に響く。高、呉さんともに昨春、愛知中高を卒業したOBとしてイベントに協力したという。 朝鮮学校の生徒はメインステージや客席に整列し、女生徒は夏季制服の白のチョゴリと紺のチマ、男子生徒は制服を着て歌った。 出演後、愛知中高の金永順さん(中2)は、「朝鮮人なのにチョゴリを着られないのはおかしい」と傷ついた胸のうちを吐露しながら、「2カ月間着られなかったチョゴリをたくさんの人の前で着て緊張したけど、チョゴリを着てウリマル(朝鮮語)で堂々と歌えてうれしかった」とイベントを満喫した様子だった。 指導にあたった同校教員の朴京姫さん(25)も、「日本人生徒や保護者との合同練習も重ねてきたが、ある日本の保護者がウリマルを話す生徒を見て『えらいね』とほめてくれたことがあった。しんどい環境の中で生徒たちも傷ついているが、このような声は大きな励みになったと思う」と語っていた。 パンフに学校紹介 正午からは、オープンデッキステージで豊橋初級児童がチャンダンノリ、東春初中の初級部児童が朝鮮舞踊を披露。通りかかる人たちが次々と足を止めて見入っていた。東春初中オモニ会は、140店以上が軒を連ねる模擬店でチヂムやピビンバを販売した。 当日参加者に配られたガイドブックには、朝鮮学校を紹介する広告も掲載。1000人の子どもたちが学んでいることや、私学助成や大学受験で差別を強いられていることなどを平易に解説していた。 広告費用は朝鮮学校や県下の同胞、日本人教員、市民によってまかなわれた。朝鮮学校の参加を積極的に働きかけてきた東海高等学校教員の久田光政さん(46)は、「いやがらせが続いている今だからこそ応援したいと思った。委縮している朝鮮学校を元気づけたかった。この思いに共感し協力してくれた教員が数多くいたことに僕自身も驚いている」と話していた。(張慧純記者) |