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朝日新聞11日付に、ベトナムで若者を支援する日本人大学教授のエッセーが掲載されていた。彼の支援はユニークだ。将来有望な若者に投資するのである。例えば、長年物売りをしていた女性のホテル経営などを、コンセプトを練ることから支援している
▼彼らの今日の生活だけを助けるのではなく、彼らが自立し生きていけるようバックアップする。「援助でも融資でもなくビジネスパートナーとして協力したい」という。「途上国支援は単なる慈善活動ではない」というのがモットーだ。裕福な先進国がかわいそうな人々を助けてあげる、という優越感は捨てるべきだと手厳しい。例え所得水準が低くても、活力を欠いているわけでも精神的に貧しいわけでもないというのだ。長年、現地の人々と人間的なつきあいを続けてきた人の言葉だけに説得力がある ▼確かに、途上国の人々に支援をする場合、どこかで自分が高みに立っている錯覚に陥りがちだ。「助けてあげている」という発想があるからだろう。だが、それは傲慢だ。むしろ彼らから希望やパワーをもらうことが少なくない。「情けは人のためならず」 ▼朝・日首脳会談を通じて採択された平壌宣言では、日本が国交正常化後に朝鮮に対して経済協力の方法で過去の清算を行うことが明記された。だが一部で、「金を出してあげる」という考えがあるのが気になる ▼経済協力とは言え、これは日本が植民地支配によって朝鮮人に多大な苦痛を与えたことへの償いだ。会談関係者の言葉を借りれば、「金の問題ではなく民族の自尊心の問題」だ。(聖) |