閑話休題

意識+しくみの改革が必要

女性の生き難さ


 「女性で良かったな、と思うことについて書いて下さい」と、講師は言った。会場からは、母親になれる、レディースプランを利用できる、との声。「では、男性なら良かったのに、と思うことについても書いて下さい」。野宿ができる、生理のわずらわしさがない、年齢や結婚にしばられない…。

 先日、東京・青山のウィメンズプラザで、同胞女性を対象にした学習会が開かれた。講師は、同プラザ相談員の丹羽雅代さん。先の質問に対する答えから、「弱者である女性」の姿を浮き彫りにする。「女性は保護の対象」「社会は女性にとって安全ではない」。参加者らの答えは、おおよそこの2つに集約された。中には「三流市民」「人間扱いされていない」とのきびしい声も。長年にわたる家制度という仕組みの中で、女性の権利はことごとく無視され続けてきた。その不平等の解消を求めて今やっと職場や家庭や社会で声を上げつつある女性たち。

 過去30年のデータを見ると、日本での強制わいせつ、強かんの認知件数は増加の傾向を見せている。むろんここには、罪を訴える女性の意識の変化もあるだろうが、街中で見かける「ちかんに注意!」の看板には、なぜ被害者側にだけ注意を呼びかけるのかと、不快に思うことさえある。

 加害者ではなく、被害者に苦痛を強いる世の中は間違っている。97年以降、性風俗店の数は2万1589店と、約2倍に膨れ上がった。売買は誰がするのか。「女が売って男が買う? 違いますよ、男が売って、男が買うんです。女性は『商品』、物として扱われているんですよ」と言った丹羽さんの言葉が耳に残る。(潤)

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