センターよもやま話―生活の現場でD

リピーター増やすには?―NPO法人習得しシステム化へ

座談会(下)/大阪・生野南センター


14日に認可受ける

 ―今後の課題は

 邵哲珍(邵) 生野南地域には約1万人の同胞がいる。その中でセンターが連携を持っているのは745人、7%だ。10%にも満たない。なぜ同胞は、在日朝鮮人の基本的人権を守ってきた総聯を生活相談の選択肢にすら入れていないのか。この現実を真剣に考える必要がある。多くの同胞は、総聯は自分たちの生活とは関係のないものと考えている。

 しかし、個々人の問題を追求していくと、同胞を苦しめている制度的、社会的差別にぶち当たる。

 例えば破産した同胞がいたとしよう。子ども3人を朝鮮学校に送っていて毎月必要な教育費7万円を工面できなくなる。場合によっては民族教育を断念せざるをえない。この先には朝鮮学校に対する日本政府の差別がある。

 われわれは、総聯が取り組んでいる民族教育や人権、社会的差別の問題が「あなたの生活」と一体で、つながっていることを証明し、組織に対する信頼度を高めていかなければならない。集会を開いてアピールする方法もあるが、センターの相談員、専門家が問題を処理する過程で見えてくるものがある。そのためには、センター職員が多様化された同胞一人ひとりの相談に的確、迅速、親身に対応する実力を備えなければならない。

 洪東基(洪) 目指すは、気軽に相談できるセンターだ。逃げた犬を探して欲しいなどのよろず相談的な。

 そのためには認知、アピールを徹底すべきだ。地道に相談を聞いているにもかかわらず、それが知られていないのは、アピールが下手だからだ。7月の第4回総会で決めたセンターのNPO法人化はアピールのためのひとつの方法だと言える(14日に認可受ける)。

 センターの最終的な目標は、同胞のネットワークを広げること、コリアンファンを増やしていくことだ。

 リピーターを増やすためには、センターと関わりのない残り9割の同胞にどのようなメッセージを発信するかが課題になるが、誰をターゲットに定めるかを調査、研究する必要がある。

 支部では月刊情報誌「ヨボセヨ」を1500戸、管下同胞世帯の60%に配っているが、これも同胞とつながる大事な手段だ。

区職員と定期交流

 金完圭 相談をきちんと処理することが何よりも大事だと思う。1人で抱えないで誰かに相談して、というメッセージを発信することが大切だ。

 邵 システムで対応できるセンターになりたい。その点が弱い。個々人の熱意に任せるのではなく、担当者が変わっても相談業務が着実に続く、やるべきことがしっかりチェックされるシステム、基盤作りを急がなければならない。NPO法人化のもうひとつの目的だ。相談の守秘義務と法人運営においての情報公開も徹底する。

 洪 同胞の生活をバックアップするためには行政との連携が大事だが、この部分も弱い。

 生野区内の総聯支部と民団の支部が年に2回、生野区の職員と経験交流会を開いている。同胞の生活に関わる問題を提起している場だが、最近は朝鮮人の老人ホームや憩いの家の朝鮮人版を作ってくれと要望した。1世の同胞は日本人と融合できず、生野区の文化施設は生野区民会館1カ所しかないからだ。朝鮮学校保護者の負担を軽減する問題や、介護保険の説明ももっと丁寧にして欲しいと語った。NPO法人資格を取得すれば、行政とタイアップして福祉分野でも新しい仕事ができる。

 区の職員とソフトボ―ル試合もするが、在日同胞の実状を知ってもらう日ごろの情報交換が大切だ。

 邵 何でセンターかという根本的なテーマを追求していきたい。酸素が送られない人間の体が腐っていくように、情報が集まらない組織は腐っていく。同胞が集い、情報が集まるまさに地域の中心、センターを目指していきたい。(おわり)

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