金剛山観光地区法


 朝鮮最高人民会議常任委員会が11月13日に採択した、朝鮮民主主義人民共和国金剛山観光地区法の全文を紹介する。

 第1条 金剛山観光地区は、共和国法に則して管理運営する国際的な観光地域である。
 朝鮮民主主義人民共和国金剛山観光地区法は、観光地区の開発と管理運営において制度と秩序を厳格に確立し、金剛山の自然生態観光を発展させるのに寄与する。

 第2条 金剛山観光地区における観光は南側および海外の同胞が行う。
 外国人も金剛山観光ができる。

 第3条 観光は、民族の悠久な歴史、さん然たる文化を認識し、登山と海水浴、休養で健康を増進し、金剛山を遊覧する形で行う。

 第4条 観光地区で観光と観光業、その他の経済活動は、本法とその施行規定に従う。
 法規として定めていない事項は、中央観光地区指導機関と観光地区管理機関が協議して処理する。

 第5条 観光地区の事業に対する統一的指導は、中央観光地区指導機関が観光地区管理機関を通じて行う。
 機関、企業所、団体は観光地区の事業に関与しようとする場合、中央観光地区指導機関と合意しなければならない。

 第6条 中央観光地区指導機関の任務は次のとおり。
 1、観光地区管理機関事業に対する指導
 2、観光地区の開発に対する指導
 3、対象建設設計文書の合意
 4、観光地区法規の施行細則の作成
 5、観光地区管理機関が求める物資と記念品の保障
 6、観光地区の税務管理
 7、その他、国家から委任された事業

 第7条 観光地区の開発は開発業者が行う。
 開発業者は、中央観光地区指導機関から当該機関の土地利用証の発給を受けなければならない。

 第8条 開発業者は、中央観光地区指導機関が定めた期間まで観光地区の開発と観光事業の権限を行使することができ、その権限の一部を他の投資家に譲渡したり、賃貸することができる。
 開発業者が行う観光地区の開発と営業活動には税金を賦課しない。

 第9条 開発業者は、観光地区開発総計画を作成して中央観光地区指導機関に提出しなければならない。
 中央観光地区指導機関は、観光地区開発総計画を受理した日から30日以内に審議結果を開発業者に通知しなければならない。

 第10条 開発業者は、認可を受けた観光地区開発総計画を変更しようとする場合、中央観光地区指導機関に申請書を提出して認可を受けなければならない。

 第11条 開発業者は、観光地の風致林を伐採したり、名勝地、海岸の松林、海水浴場、奇岩絶壁、優雅で絶妙な山並み、風致の美しい島をはじめ自然風致と洞窟、滝、古城の跡などの天然記念物と名勝古跡を破壊したり、環境保護に障害をきたす建物と施設を建設してはならず、定められた汚染物質の排出基準、騒音、振動基準などの環境保護基準を満たさなければならない。

 第12条 観光地区の管理は、中央観光地区指導機関の指導のもと、観光地区管理機関が行う。
 観光地区管理機関は、開発業者が推薦するメンバーで構成する。
 中央観光地区指導機関が推薦するメンバーも観光地区管理機関のメンバーになることができる。

 第13条 観光地区管理機関の任務は次のとおり。
 1、観光計画の作成
 2、観光資源の調査と開発、管理
 3、観光宣伝と観光客の募集、観光組織
 4、投資の誘致と企業創設の承認、登録、営業許可
 5、土地利用権、建物、運輸機材の登録
 6、観光地区インフラ施設の管理
 7、観光地区の環境保護、消防対策
 8、南側地域から観光地区に出入りする人員と輸送手段の出入証明書発給
 9、観光地区管理機関の活動準則の作成
 10、観光地区管理運営状況に関する報告書の提出
 11、その他、中央観光地区指導機関が委任する事業

 第14条 観光地区管理機関は、観光地区に近代的な浄化場、沈殿池、ごみ処理場のような環境保護施設と衛生施設を整え、さまざまな投棄物を観光と環境保護に支障をきたさないよう浄化したり、処理しなければならない。

 第15条 観光地区管理機関は観光を高い水準で行えるよう、観光環境と条件を保障しなければならない。
 中央観光地区指導機関は、観光環境と条件の保障で提起される問題を適時に観光地区管理機関と協議して処理しなければならない。

 第16条 観光地区管理機関の運営資金は手数料などの収入で充当する。
 観光地区管理機関は、観光客から観光地の入場料を取ることができる。

 第17条 観光客が携帯できない物品は次のとおり。
 1、武器、銃弾、爆発物、凶器
 2、定められた拡大倍数、または規格を超えるレンズのついた双眼鏡、望遠鏡、カメラ、ビデオカメラ
 3、無線機とその付属品
 4、毒薬、麻薬、放射性物質のような有害物質
 5、伝染病が発生した地域の物品
 6、社会秩序の維持に支障をきたす各種の印刷物、絵画、文字版、録音・録画物
 7、ペットでない獣
 8、その他、観光と関連のない物品

 第18条 観光客は単独、または集団的に自動車のような運輸機材を利用したり、歩いて自由に観光することができる。
 必要に応じて、行事、文芸活動、写真撮影、ビデオ撮影や投資相談、貿易契約の締結のようなことができる。

 第19条 観光客が守るべき事項は次のとおり。
 1、観光地区管理機関が定めたコースに沿って観光しなければならない。
 2、社会制度と住民の生活風習を尊重しなければならない。
 3、民族の団結と良風美俗にそぐわない印刷物、絵画、録音・録画物のようなものを流布してはならない。
 4、観光と関連のない対象を撮影してはならない。
 5、観光地区管理機関が定めた立入禁止、または立入制限区域に入ってはならない。
 6、通信機材を観光と関連のない目的に利用してはならない。
 7、革命史蹟地と歴史遺跡遺物、天然記念物、動植物、温泉のような観光資源に損傷を与える行為をしてはならない。

 第20条 観光客は、金剛山観光地区外の観光地を観光することができる。この場合、観光地区管理機関を通じて観光証明書の発給を申請しなければならない。

 第21条 観光地区には、南側および海外の同胞、外国の法人、個人、経済組織が投資して観光業を行うことができる。
 観光業には、旅行業、宿泊業、娯楽および便益サービス施設業のようなものが属する。
 ソフトウェア産業のように公害のない先端科学技術部門に対する投資も観光地区にすることができる。

 第22条 観光地区では、観光業とそれに関連したインフラ建設部門の投資を奨励する。
 金剛山の自然生態環境を破壊したり、変化させかねない部門の投資はできない。

 第23条 観光地区に投資しようとする者は、観光地区管理機関の企業創設認可と業種の許可を受けなければならない。
 企業創設認可を受けた場合には定められた出資を行い、観光地区管理機関に企業登録をし、当該機関に税関登録、税務登録しなければならない。

 第24条 観光地区では定められた転換性外貨を使うことができる。
 転換性外貨の種類と基準貨幣は、観光地区管理機関が中央観光地区指導機関との合意で決める。
 観光地区で外貨は自由に搬出、搬入することができる。

 第25条 南側地域から観光地区に出入りする南側・海外の同胞、外国人と輸送手段は観光地区管理機関が発給した出入証明書をもって、指定された通路からビザなしで出入りすることができる。
 観光地区から共和国の他の地域に出入りしたり、他の観光地に出入りする秩序、共和国の他の地域を通じて観光地区に出入りする秩序は別途定める。

 第26条 観光地区の出入りは、中央観光地区指導機関と観光地区管理機関の間で合意した通路や輸送手段で行う。
 観光客の輸送手段には、軍事境界線を越えた時から観光を終えて軍事境界線を越える時まで定められた観光標識旗だけを掲揚する。

 第27条 観光地区に出入りする観光客とその他の人員、動植物と輸送手段は出入検査と税関検査、衛生・動植物検疫を受けなければならない。
 検査、検疫機関は、出入検査と税関検査、衛生・動植物検疫を観光地区の安全と出入りに支障がないよう、科学技術的方法によって迅速にしなければならない。

 第28条 本法に違反して観光地区の管理運営と観光事業に支障を与えた者には、情状に応じて損害賠償などの制裁を加えることができる。情状が重大な場合、追放することができる。

 第29条 観光地区の開発と管理運営、企業活動をめぐって生じた意見の相違は当事者間で協議の方法で解決する。
 協議の方法で解決できない場合には、北南間で合意した商事紛争解決手続、または仲裁、裁判手続で解決する。

 付則

 第1条 本法は採択された日から実施する。

 第2条 金剛山観光地区に関する北南間の合意書の内容は本法と同じ効力を持つ。

 第3条 本法の解釈は最高人民会議常任委員会が行う。(朝鮮通信)

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