情報共有、ネットワーク形成
東・西日本地方で朝鮮学校オモニ会会長の集い
「オモニ会中央連絡会」が主催する朝鮮学校オモニ会会長の集いが西日本(11月22日、大阪朝鮮会館)と東日本(11月1日、東京朝鮮会館)の2つの地方に分かれて開かれ、各地の会長、副会長、メンバーらが参加した。総聯中央教育局の李相鎬副局長も同席し、意見を聴衆した。1994年に発足した同連絡会は、朝鮮学校生徒に対するJR定期券差別是正運動を展開し、署名を運輸大臣(当時)に直接提出するなど、差別撤廃に大きな役割を果した。今回、このようにオモニ会の代表らが一堂に集うのは初めてのことで、活動の発展へ意見を交換した。
HPで中央連絡会、助成金の拡充をアピール 集いではまず、李副局長が「民族教育の現況と展望」と題して講演した。民族教育を発展させるために講じられた一連の措置について触れながら、2003年度から随時改編される教科書について、統一祖国を念頭に置きつつ、さらには在日社会の現実に沿って編集されると強調した。
つづいて、各オモニ会を対象に実施したアンケート調査(悩みや要求など)の結果について同連絡会代表の梁玉出・女性同盟中央副委員長が発表した。それによると、各地の会が求めていることは大きく分けて3つ。@横のつながりを持って情報を共有したいA懸案問題に対する各会の意見をひとつにまとめて実現させていきたいB諸般の情勢と関連した子どもたちの身辺の安全を保障させる―ことなどであった。 こうした問題を踏まえて各代表らが発言。学校を支援するさまざまな活動が報告される一方で、「資金繰り=オモニ会」という構図から脱皮し、その役割をさらに高めるうえでの積極的な意見が交わされた。 また、会が当面して取り組むべき課題についても提案された。総合的には、@会の活動についてすべてのオモニたちが正しく認識し積極的に取り組むようにするA助成金拡充運動を展開していくB行政にスクールゾーン設置を求めるCネットワーク作りを進めるD朝鮮を知るための児童文学作品を揃えるよう近隣の図書館に要望するE近隣の日本学校との友好を深めるF子どもたちの民族性育成に寄与する―などだ。 連絡会では討議の結果を踏まえ今後、年に1度の割合でこうした集いを設けるほか、女性同盟のホームページ(http://www4.ocn.ne.jp/~nyomeng/)を通じて情報の共有を行っていく。また、教育権利拡充の問題と関連して、国連人権小委員会のメンバーを日本に呼び、朝鮮学校の現状について訴えていくことも予定している。 財団から助成、図書館充実、地域交流で運動場整備 集いでは7つの課題が提案されたほか、すでに取り組まれている各地の経験も発表された。 滋賀初中オモニ会は、十数年前から同校図書館の充実をはかる「オモニ文庫」の活動を続けており、大津市図書館から月200冊の貸し出しを受けてきた。そして今年、伊藤忠財団が文庫活動で実績のある民間団体に支給する助成金の対象に選ばれた。専門家を招いての読み聞かせの講習や、大津市図書館の「文庫交流会」にメンバー登録し、情報収集や交流に努めてきた地道な運動が評価された。80万円の助成金で500冊の書籍と本棚を購入し、生徒たちに喜ばれたという。 西東京第1初中オモニ会は、初級部低学年を対象に朝鮮の絵本の読み聞かせをしている。当初は学校に図書室がなかったため近隣の図書館を訪ね歩き、朝鮮関連の本を探すことから始めたという。 集いでは、共働きの家庭が増えていることに加え、不況のあおりもあり、オモニ会役員を買って出る保護者が少ない問題点や、役員が1年交代では活動の継続性が保障されないとの切実な声も聞かれ、その打開策として、会則を作成することも提案された。 学校運営の打開策として、ノウハウを教えてほしいとの要望が多かった助成金問題に関しては、近隣の日本小学校のPTA、学校所在地の杉並区職員らと交流を積み、水はけが悪かった運動場の整備を行政から業者の紹介を受け、実費で行った東京第9初級の経験が発表された。 |