オモニ 私は…
オモニ!
腫れた足を引きずり
今日も仕事へと向かうのですか
しわ深い顔には
異国でのあまたの苦労がにじみ
もう70をすぎたというのに
オモニ!
オモニは何故この娘を
叱らないのですか
四十年間
オモニの為にしたことは何もなく
オモニの為に費やした時もない
この娘を
七兄妹育て上げた
苦労いかばかりでしょうか
豚小屋の前で汗の乾く間もなく働き続け
野っぱらでは落ち穂を拾い
みなが寝静まる深い夜を
焼酎づくりで明かしたオモニ
異国の風浪の中で
ぜいたくもさせてあげられず
祝いの日にも
大好きなお酒を買ってあげることも
足が痛いと言っても
病院に連れて行くこともなかった
この娘でした
オモニは私が
幼な子四人を抱え
教員の仕事に明け暮れる日々にも
やめろとは一度も言わず
ただ黙って見守ってくれました
たまに私が
悩み苦しみ愚痴をこぼすときには
静かに諭してくれました
教職は未来をつなぐ仕事
さいごまで自分の職をまっとうしろと
オモニは私に
いつも言ってくれました
国を失う苦しみは
次代に与えてはならぬと
大きな家、裕福な暮らしより
祖国と民族のために教壇に立つおまえ自身の生きがいが
オモニの幸福、オモニの誇りだと
オモニ!
私は
オモニの心を胸に
すべての朝鮮の
オモニの願いを胸に
今日も教壇に立ちます
キム・ジョンイム 在日本朝鮮人総聯合会結成30周年記念詩集「太陽と星を仰ぎ」に収録。(訳・全佳姫) |