開発始まる開城工業地区
東北アジアの中枢的団地に
開城工業地区の建設は、南の現代峨山と朝鮮アジア太平洋平和委員会が取り組んでいるもので、2000年8月に合意書を締結。現代側の資料によると、「中国の深r経済特区のような経済地区として開発」するという構想だ。その構想と展望について見た。
8年間に3つを建設 現代の計画によると、開発区域は開城市と板門郡平和里一帯の66.6平方キロメートルで、8年間にわたって3つの工業団地を建設する。 「北側から土地使用権を50年以上賃借し、産業団地に開発した後、国内外の企業に分譲」する方式を用いる。ただ、9月に制定された三権すべてを香港型の行政特区とする新義州特別行政区とは違い、羅先経済貿易地帯のような経済特区に限定されたものになる見通しだ。 開発の目的は、@世界的規模の工業団地造成と南北企業、外国企業の誘致で東北アジア地域の中枢的な産業団地として建設A(長期的には)貿易、工業、観光、商業、住居機能を持つ複合的で国際的な新都市を建設B北側の大規模雇用創出と入住企業の国際競争力確保C南側、北側、外国間の経済協力の推進と共栄に寄与―することだ。 地形は工事に好条件 3つの工業団地建設だが、第1工業団地は面積3.3平方キロメートルで、繊維、衣類、製靴、皮革、バッグ類、玩具、靴下、食品、飲料、電気・電子組立、金属・機械組立など、主に軽工業分野の品目、業種を中心に150社を誘致する計画。雇用人員2万人、年間生産高20億ドルを見込んでいる。 第2工業団地は面積10平方キロメートルで入住企業450社、雇用人員6万人、年間生産高60億ドル、第3工業団地は面積13.3平方キロメートルで入住企業600社、雇用人員8万人、年間生産高120億ドルをそれぞれ見込んでいる。第2、第3工業団地では、電気・電子、金属・機械、自動車部品・組立、精密化学、医薬品・化粧品、情報通信・コンピューター、ソフトウェアなどの産業設備や先端産業分野を誘致する。工業団地と共に、住居や宿泊・娯楽施設などを併設し、合計15万世帯が暮らす新都市を開発していく。現代は開城地区の立地条件の良さについて、@朝鮮半島の中心地域(交通の要衝)A開城市およびソウル圏一帯を背後都市として活用可能Bソウルおよび京仁地域と近距離(部品、半製品など原資材の調達、情報取得が容易)C南北インフラの連結使用が容易(鉄道、道路、電力、用水など)D事業候補地の地形が工事に好条件E高麗王朝の都で文化観光に好条件―と指摘している。 アイアン・シルクロード 北南政府間では、ソウルから開城を経て新義州まで続く西海線鉄道を連結していくことで合意、9月にその着工が始まったが、同地区はその西海線鉄道とも連結される。西海線鉄道は、南の釜山からユーラシア大陸を結ぶ重要な線。釜山は、世界第3位のコンテナ処理能力を備えている国際港であり、ユーラシア大陸の関門。金大中大統領はこの鉄道について「アイアン・シルクロード」と表現したが、まさに鉄道が連結され、開城工業地区とともに新義州特別行政区の開発が進めば、朝鮮半島は大陸と海洋を連結する東北アジアの物流の中心地となろう。 日本で使用されているリフトのほとんどを製造しているある在日同胞は、南で作った丸パイプを北で角パイプに加工・製造し、西海線鉄道で中国に輸出したいとの夢を膨らませている。(羅基哲記者) |