私たちのうた

洪允杓


一つの地

 北だけではなく
 南だけでもない
 心に描く地は

 かの地には
 山は
 どこまでも青くそびえ
 川は
 どこまでも募る思いをのせ流るる

 戦争もあった
 はらからのはざまで
 互いに殺し焼き払い
 山も焼け川も血を流したあの風景
 どんな想像をもおよばぬ
 信じがたい抽象画のよう

 私に聞くな
 南側か、
 北側か、と

 海のそとに
 ぽとりと落ちた
 この運命この体はいつも
 一つにつながる地のもの
 分断があろうがなかろうが

 異国の地からのぞむ時
 故国は一つにうかびあがる
 半分だけであらわれはしないから

 ホン・ユンピョ 詩誌「チョンソリ」第11号(2002年夏号)収録。(訳・全佳姫)

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