春・夏・秋・冬 |
「狂乱的な」週刊誌などを除いて、これまた「狂乱的な」拉致報道に対する検証がようやく、一部の雑誌で試みられている。「拉致被害者を支援するグループの顔色を窺いながらの拉致報道」。どれほどの真実がその過程で語られ、どれほどの虚偽、物語が作られたのか、報道する側には当然、そのことを検証、明らかにする責務があるだろう ▼今回、比喩的に「大本営発表」という表現が使われた。耳にもした。「大本営とはいうまでもなく、侵略戦争中の日本の、事実上の最高意思決定機関だった。その発表は絶対的であり、発表された内容を吟味する作業は許されなかった。支援グループが一手に窓口を引き受ける今の拉致報道はまさにその様相を呈している、と月刊「創」などは指摘する ▼支援グループにはさまざまな人たちが加わっているが、なぜか国粋主義を看板にするグループが柱になっている。いわく「北朝鮮を追い詰め崩壊させろ」と。そのためには手段を選ばないのだろう ▼一方、南の知り合いたちは、植民地時代の強制連行、「従軍慰安婦」「創氏改名」など、民族抹殺そのものの日本の過去はどうなったのか、と指摘する。「日本の過ちは忘れられて、北の過ちだけは徹底的に追及されるのか」と ▼たびたび紹介してきたように、ブッシュがイラクを攻撃したい理由は「フセインが嫌いだから」。「北の指導者もフセイン同様」と公言している。大量破壊兵器開発の査察など、口実作りに過ぎない。その発言が活字になった瞬間から、現在の状況は幕開けしていたのだろう。(彦) |