開城工業地区検疫に関する合意書


 北南経済協力推進委員会第3回会議の合意に沿って、6〜8日まで金剛山で行われた開城工業地区建設のための実務接触で採択された検疫に関する合意書の全文はつぎのとおり。

 北と南(以下「双方」)は、開城工業地区(以下「工業地区」)に出入する人員、物資および運送手段に対する検疫を円滑に行うために以下のように合意する。

 第1条 定義

 1、「人員」とは工業地区開発と管理運営、工業地区内の投資企業(以下「企業」)の経営活動、工業地区の視察および観光などを目的に出入する南側住民、海外同胞、外国人およびその家族などを指す。
 2、「物資」とは、工業地区建設と管理運営、企業の生産と経営、常駐人員の生活に必要な物品のことをいう。
 3、「出入」とは、双方が合意し定めた出入通路に沿って人員が工業地区に出入することを指す。
 4、「搬入」とは、双方が合意し定めた出入通路に沿って物資を持ち込むことを、「搬出」とは工業地区から持ち出すことを指す。
 5、「運送手段」とは、工業地区に出入する物資、人員を輸送したり、工業地区の建設と管理運営のために持ち込む汽車および各種車両のことを指す。

 第2条 出入通路の指定

 双方は工業地区の開発工事着工前に、列車・車両運行事務所と工業地区を結ぶ鉄道、道路の出入通路を協議し定める。

 第3条 検疫対象物品および基準

 1、双方は、指定された通路を通じ工業地区に搬出入される物資のうち、検疫対象と基準、方法を工業地区開発事業の着手前に合意し定める。
 2、伝染病の発生など特別な事情がない限り、指定通路を通じて直接出入する人員、輸送装備については検疫を行わない。

 第4条 工業地区検疫所の設置

 北側は、工業地区内で搬入、搬出される物資に対する検疫を専門的に行う検疫所(以下「工業地区検疫所」)を工業地区内に設置する。

 第5条 検疫の原則

 1、工業地区検疫所では、検疫手続きを簡素化し物資を速やかに通過させ、工業地区管理機関は必要な人員を派遣し検疫に協力することもできる。
 2、検疫対象にならない人員、運送手段、物資を特別に検疫する必要がある場合、その理由を南側列車・車両運行事務所と協議して検疫を行う。衛生証明書または予防接種証明書がある場合は、検疫を行わない場合もある。
 3、工業地区検疫所は、検疫を行った対象から検疫料金をもらい、検疫料金の基準は工業地区管理機関と協議し定める。

 第6条 搬入物資に対する検疫

 1、検疫対象物資を工業地区に搬入する者は、検疫対象物の到着次第工業地区検疫所に入庫し検疫申請を行わなければならない。
 2、工業地区検疫所は検疫を行い、検疫基準に合格した対象に対して検疫証を発給しなければならない。
 3、工業地区検疫所は、検疫に不合格となった対象に対し消毒、搬送、使用中止といった処分の決定をすることができ、その理由について南側列車・車両運行事務所に通報しなければならない。

 第7条 搬出物資に対する検疫

 1、検疫対象物資を搬出しようとする者は、検疫対象物資を工業地区検疫所に入庫させ検疫申請を行わなければならない。
 2、工業地区検疫所は検疫を行い、検疫基準に合格した対象に対し検疫証を発給しなければならず、検疫に合格した物資だけ搬出することができる。
 3、南側当局で検疫を要求しない搬出物資に関しては、検疫を行わずに搬出することもできる。

 第8条 情報提供

 双方は、検疫と関連し制定または修正、補充する法規を提供し、相手側の資料協調要請に対して特別な事情がない限りすぐに応じる。

 第9条 検疫当局間の交流・協力

 双方の検疫当局は、工業地区に搬出入される物資の検疫が円滑に行われるよう相互交流・協力する。

 第10条 解釈および適用

 双方は、本合意書の解釈および適用と関連して発生する問題を、北南経済協力推進委員会または同委員会が委任する機構で協議し解決する。

 第11条 修正および補充

 双方は必要な場合、合意書の条項を修正、補充することができる。この場合、修正、補充される条項は第12条第1項のような手続きを経て効力が発生する。

 第12条 効力発生および廃棄

 1、この合意書は、双方が署名してそれぞれが発行に必要な手続きを経てその文本を交換した日から効力が発生する。
 2、この合意書は、北と南の関連法規と同じ効力を持つ。
 3、この合意書は、一方が相手側に廃棄意思を書面で通知しない限り効力を持つ。廃棄通知は、通知した日から6カ月後に効力が発生する。

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