許せない朝鮮学校への嫌がらせ


 拉致問題と絡めて朝鮮学校生徒への嫌がらせが起きていることと関連して、札幌に住む伊藤春雄さんから北海道朝鮮初中高級学校へ励ましの手紙が寄せられた。手紙の全文は次のとおり。

◇    ◇

 突然の便りを差し上げ失礼の段、お許し下さい。

 私は札幌に居を構えて17年になる者です。遅くなりましたが、さる11月17日日曜日、北海道新聞の社会面に掲載されていました「拉致悲しかった」の記事を読み、居たたまれぬ思いに駆られた者です。心狭き無神経な日本人が短絡的に朝鮮学校に暴言や嫌がらせをしたり、さらに、友好行事まで中止にまで追い込んでしまい、一部の日本人の仕業であったとしても、私は絶対に許すわけにはいきません。

 日本人からの暴言や嫌がらせに、一生懸命耐えながら、拉致問題と朝鮮学校生徒としての立場と心情を訴えていた生徒の方々の勇気と熱意に対し敬意を表したいと思います。

 記事によりますと、発言の一部に「なぜか祖父のことが頭に浮かんだ。祖父は植民地時代に日本に連れて来られ強制労働に従事させられました」の一節を読んだとき、私は胸が熱くなり頭を殴られたような思いがし、涙で次を読んでいくのが辛いくらいでした。暴言や嫌がらせに対する精いっぱいの反論だったのでしょう。

 拉致問題が明らかになり、各マスコミ紙上やテレビに出ない日はない昨今、今の日本人の心情としては、当然解明されなければならない政治課題だと思います。だからと言って在日朝鮮人や学校生徒にまで中傷や暴言、嫌がらせを許すわけにはいきません。声を大にして叫びたい思いです。

 過去、日本人のやって来た事を思い起こし、反省の上にたち冷静に対応を望みたいものだとおもいます。

 私が16歳の時、ある事業所に人手不足を補うため、学校から病院の収容所に派遣された時の事です。朝鮮人や中国人の人達の死者が今日は3本、今日は2本と丸太棒扱いで馬車の荷台にムシロを掛けて運ばれて来ました。

 始めの頃は、とても恐ろしい思いをしましたが、日が経つにつれ慣れて来て死者を丸太のように扱っている私でした。馬車から死人を降ろして粗末な棺桶に入れ簡単な手続きの後、再び馬車に積み墓地に運んでいました。死者のほとんどは、食事もろくに与えられず過酷な重労働と虐待と酷使によって耐えられず、栄養失調で骨と皮だけになり大勢の人が死んでいったのです。その他、いろいろ事例を見たり体験をしてきました。これは、ほんの一例に過ぎません。しかし、現代に至っても強制連行訴訟を見ても分かるように、過去と向き合わない日本と言われているのも事実です。

 だが、その反面友好を深め交流を図ろうと一生懸命活躍をしている人も大勢いるのもたしかです。どうかこのような苦難を勇気を持って乗り切り、それをばねにして、心広き国際社会人に育ち活躍されることを心から願うのみです。

 とりとめのない手紙になりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。皆様方のご健勝をご祈念申し上げます。(札幌市 伊藤春雄)

日本語版TOPページ