今年の朝中、朝ロ、朝EU関係
ブッシュ政権の対朝鮮敵視政策が日ごと強まるなか、朝・日首脳会談後、日本政府もあくまで強硬姿勢を貫こうとしている。この1年、他の諸国は朝鮮とどのような関係を保ってきたのか。朝鮮とロシア、中国、EUの動きをまとめてみた。(李松鶴記者)
朝中 活発な高位級交流
朝鮮と中国の伝統的な友好関係は、金正日総書記と江沢民主席の訪中、訪朝を契機にさらに強化されてきた。11月に行われた中国共産党第16回大会を機に新体制となった後も、両国の関係はさらに発展するものと思われる。 金正日総書記は11月15日、胡錦涛副主席が中国共産党中央委総書記に、江沢民氏が中国共産党中央委軍事委員会主席に選出されたことで祝電を送り、世紀をついできた伝統的な朝中友好が、こんにちの時代の要請と共通の利益にふさわしく今後も強化・発展するものと確信すると指摘した。 胡総書記、江主席も12月2日付の礼電で、中朝間の伝統的友好関係を強化・発展させることは中国の党と政府のゆるぎない方針であると強調。そして中国の党と政府、人民は朝鮮の党と政府、人民とともに、両党、両国の友好・協力関係を絶え間なく前進させていくと述べた。この礼電からは、今後も朝鮮との幅広い交流を進めていくという中国の意思がうかがえる。 今年、高位級交流が活発に行われ、崔泰福書記と中国共産党中央委対外連絡部代表団との会見(7月19日)、金永南委員長と中国人民政治協商会議全国委員会代表団との会見(9月3日)、朝鮮労働党親善参観団の訪中(9月16日)、楊亨燮副委員長を団長とする朝鮮国家代表団の訪中(10月15日)など、継続的に行われている。 こうした交流は、金正日総書記が年初から武東和大使(2月10日)や中国人民解放軍総政治部歌舞団(4月23日)、中国共産党代表団(5月9日)らと相次いで会見したことからもうかがえるように、中国との友好親善関係をさらに発展・強化させようとの意思が反映されたものといえる。 また軍事、経済、文化など他の分野での交流、往来も頻繁に行われている。 12月18日、新年2003年を迎えるにあたって催した宴会の席で武東和大使は、中国の党と政府は伝統的な中朝関係を非常に大切にしているとしながら、来たる新年にもわれわれは両首脳の合意に沿って中朝親善関係が新たな高い段階へと発展することを希望すると述べた。 白南淳外相も、朝鮮と中国の関係は戦略的関係だとしたうえで、中国との親善関係を大切にする朝鮮の立場に変わりはないことを強調。また、両国間の代表団交流が活発に行われたことについて言及しながら、この過程で朝中親善の生活力が示されたと指摘。新年にも両国関係がさらに強化されると信じると述べていることから、より密度の濃い交流が予想される。 朝ロ 総書記訪問でさらに強化
金正日総書記が昨年に続き8月20〜24日にロシア極東地域を訪問。プーチン大統領と会談を行ったことで、朝ロ関係はより強化された。 8月23日にウラジオストクで行われた会談でプーチン大統領は、総書記の今回の訪問が両国間の友好協力関係をさらに拡大、発展させるうえで重要な契機になったと述べた。会談で両首脳は、両国の関係がひきつづき良好に発展していることに満足の意を表し、相互の関心事となる国際問題について意見を交わした。 会談ではまた、朝鮮半島の鉄道とシベリア横断鉄道をつなぐ問題をはじめ、協力関係をさらに発展させるための一連の問題が話し合われた。 総書記の訪ロに先立つ7月28日には、白南淳外相が訪朝したイワノフ外相のための宴会の席で、両国首脳の厚い親交に基づいた朝ロ関係が日々発展している時に、親しい友人がふたたび平壌を訪れたことをうれしく思うと述べながら、両国間の友好関係を発展させるうえでの両首脳の出会いが持つ意味を強調した。 金総書記は上半期中、駐朝ロシア大使館を2回にわたり訪問。プリコフスキー極東連邦管区大統領全権大使やイーゴリ・S・イワノフ外相をはじめとする5代表団と会見した。 とくに、総書記のロシア極東地域訪問後はさまざまな分野での交流がさらに活発になった。 なかでも経済分野、とりわけシベリア横断鉄道と朝鮮半島縦断鉄道の連結事業では大きな進展があった。 11月2日に調印された両国鉄道省間の覚書では、朝鮮東海線鉄道の改造・近代化事業でロシアが全面的に協力すること、また、鉄道連結のために北南、ロシアの3者で協議を進めていくことが確認された。これに基づき12月、朝ロ共同で元山―金剛山間の鉄道構造物に対する共同調査が行われた。 漁業、林業、科学分野での交流も進み、両国間で締結・調印された協定や計画書、覚書も多岐にわたっている。 今後の朝ロ関係は、6.15共同宣言の履行、北南統一にも貢献する鉄道連結事業を中心にさらなる発展を遂げるだろう。 朝EU 多岐の分野にわたる 今年、「悪の枢軸」発言にはじまるブッシュ政権の対朝鮮敵視政策があらわになったにもかかわらず、朝鮮とEUの関係は着実に進展した。 9月17日の朝・日平壌宣言発表直後の18日、EUのロマーノ・プロディ委員長は両国間の和解と関係正常化に向けた大きな進展であり、北東アジアの平和と安全にも大きな貢献をなしたと評価。また、北南間の鉄道・道路の連結工事の着工式も鼓舞的なものであり、朝鮮半島の平和と和解を支持するのがEUの政策であると強調した。この発言に、EUの対朝鮮認識がそのまま反映されているといえる。 プロディ委員長は、コペンハーゲンで開催された第4回アジア欧州会議(ASEM)首脳会合の席(9月24日)でも、EUは朝鮮に対し食糧・人道援助(これまでに2億7400万ユーロ)および朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)プロジェクトへの貢献を継続することを明らかにした。 そして、EUは近々、朝鮮に対する技術支援プログラムを開始する予定で、200万ユーロ(およそ2億5000万円)相当の市場経済トレーニングとエネルギーの2つのパイロットプロジェクトはすでに進行中であることを公表した。 一方、EU各国も朝鮮との交流を深めている。 金正日総書記は9月14日、イタリア国際対外交流財政グループ理事会代表団と会見。 ドイツ政府は2001年11月から4回にわたり計2万7000余トンの冷凍牛肉を寄贈。今年に入っても、6月1日と11月2日にそれぞれおよそ7000トンの冷凍牛肉を寄贈している。 英国政府も7月9日、世界気象機構を通じて朝鮮気象水文局に設備を寄贈。デービッド・アーサー・スリン初代駐朝英国大使も12月2日に赴任した。 平壌サーカス団のEU各国での公演(10月)、ドイツケルン古典音楽団の平壌公演(10月6日)やEUトロイカ代表団の訪朝(6月)、ドイツ―朝鮮議員グループ訪朝と金策工業総合大学のオーストリアおよびドイツ訪問(共に5月)など人的交流も増えた。 |