私たちのうた

朴載崙


乾ききったことば

 われらのことばは乾いている
 風のように乾いたことばは
 意味をなさない
 ―私のことばは意味をなさない

 われらのことばは形がない
 風のように形のないことばは
 韻律をなさない
 ―私のことばは韻律をなさない
 乾いたことばは
 われらの口に自信をもたらさず
 韻律なきことばは
 われらの口にうたをもたらさない
 ―私の口には自信がなく
 ―私の口はうたを知らない

 われらのことばは風のようなもの
 風のように響きだけを残し
 風のように音だけを残す
 ―私のことばは告白を知らず
 ―私のことばは願いを知らない

 われらのことばは風のようなもの
 風のように葦をゆらし
 風のように野原をはしる
 私には「あなた」を呼ぶことばもない

 パク・チェリュン 1910〜。「韓国の名詩」に掲載。詩集に「箱の中の王子」(1959年)、「乾ききったことば」(1969年)、「田舎通信」(1972年)などがある。(訳・全佳姫)

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