現状把握と課題提示

シンポ「どうなる日朝国交交渉」を取材して


 21日に行われたシンポジウム「どうなる日朝国交交渉」では、朝・日国交樹立に向けて何をなすべきかが真剣に論議された。

 小此木氏は、「小泉外交は1幕では終わらない。第2幕、第3幕も用意されているだろうが、2幕が終わる頃が国交樹立のチャンスではないかと思う」としたうえで、「核問題で米朝間は93、94年の情勢に逆戻りしつつあるが、双方とも戦争は望んでいない。両国とも間を取り持ってくれる第3者の出現を待っているのではないか」との分析を披露した。

 また、「拉致問題の解決がしきりに言われているが、何を持って解決なのかを明白にすべき。問題の解決は交渉を通じて進めるべきであり、国交交渉を再開して粘り強く取り組むべきだ」との和田氏の意見に共感する参加者も少なくなかった。

 一方、一連の「拉致報道」に関しては手厳しい意見が提起された。

 東亜日報の金忠植支社長は、「盧武鉉大統領当選の報道と同様、拉致と北に対する日本の報道は内容が浅く、深層解説などが一切ない」と指摘したうえで、「すべて横並びという世界でも特異なのが日本のマスコミ。こうしたマスコミの姿勢は日本にとっても良いことではない」と述べた。

 元NHK解説委員の山室英男氏も、「最近のテレビは見るに耐えない。拉致問題も結局のところ、すべて反北朝鮮キャンペーンのひとつであり、こうした流れのベースには朝鮮民族蔑視、民族差別がある」と指摘した。

 また、「拉致議連や救う会と反対勢力の対立が顕著になりつつある。大切なのは『まともさの感覚』を培うことであり、相手の言い分に耳を傾けること」だと強調した。

 核問題を論じた第3セッションに出演した伊豆見氏は、「時間がないのはむしろ米国のほうで、04年の大統領選に向けて来年初頭から何らかの動きがある」としながら、「インセンティブをたくさん持つ日本が北を説得するべきだが、拉致ばかりで安保問題が全然出てこない。このままだと、指をくわえて米朝交渉を見ているのが関の山だ」と指摘した。

 今回のシンポジウムでは、日本の市民一人ひとりが外交を自分の問題としてとらえることの大切さが強調された。朝・日間の諸問題を、交渉を通じて解決しようというこうした動きには希望が持てる。(李松鶴記者)

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