1世のハン(恨)晴らしたい

日弁連勧告、愛知で報告集会


報告集会で被害者の尊厳回復を訴える遺族
 長野県の平岡発電所・熊谷組の建設現場に強制連行され、過酷な労働を強いられた故金一洙氏(1994年死去)の遺族による、人権救済申し立てに対する「日弁連勧告報告集会」が18日、愛知県中小企業センターで行われた。

 マダン21(愛知県朝鮮人強制連行真相調査団)が主催した同報告集会ではまず、昨年6月に千葉調査団が作成したビデオが上映された後、主催者を代表してマダン21の寺尾光身団長によるあいさつ、申し立て代理人の今井安榮弁護士による経過報告が行われた。

 今井氏は、申し立ては被害者とその遺族の尊厳を回復することを目的に5年前に行ったもので、日弁連が朝鮮人強制連行・強制労働に関して勧告するのは初めてであると述べながら、日本政府と企業に対して被害実態の調査、申し立て人などへの謝罪と尊厳回復のための措置を講じることなどを求めた意義はとても大きいと言及。とくに、日本政府と企業は勧告後1年以内(来年10月)にその結果を日弁連に報告しなければならない異例の指示も言及されたと指摘しながら、政府と企業が勧告に対する報告をしっかりと行うよう、運動を展開していく重要性を強調した。

 次に、申し立て人である金甲治氏が発言。まず、これまで運動を一緒に推し進めるとともに支援してくれた人たちに謝意を述べながら、申し立てを行った経緯について、「1世のハン(恨み)を晴らすことは2世の義務であり、アボジだけでなく、名も残せずに犠牲になったすべての1世の方々への思いを馳せながらの決断であった」と熱く語った。

 集会ではまた、朝鮮人強制連行真相調査団中央本部の洪祥進事務局長が勧告の運動面での意義について説明したほか、フォトジャーナリストの伊藤孝司氏が最近の朝鮮からの働きかけについて語った。

 また、主催者から今後の運動について提案があり、これから1年間は勧告を履行させるためのキャンペーン期間に設定するとして、平岡ダムへのフィールドワーク開催、強制連行に関する映画の上映、日弁連勧告の各地での報告会開催、日本政府と企業への要請などを呼びかけた。

 集会ではまた、マダン21の顧問でもある衆議院議員の近藤昭一氏が、11月29日付で小泉首相あてに「質問趣意書」を提出したことを報告し、日朝ピョンヤン宣言履行のために、この問題を継続して追及していくと語った。【マダン21事務局】

日本語版TOPページ