「楽しいこと考えながら走ってます」

大阪在住の沈照泰さん、100キロマラソンに挑戦


9月に挑戦した100キロマラソンで(写真=沈さん提供)
 大阪・摂津市に住む沈照泰さん(54、一級建築士)がマラソンに挑戦したのは50を目前にした5年前のこと。軽い気持ちで10キロマラソンに出場したところ、完走。味を占めてしまった。その後、ハーフ、フルと次々挑戦。フルマラソンは3時間50秒で完走した。その後も年に3、4回マラソンにチャレンジしている。

 50を目前にして出会ったマラソンは沈さんの生活に新しい息を吹き込んだようだ。「自分をすいすい追い越していくのは60、70歳のランナー。服装もかっこいいし、姿勢もいいですよ。ベトナム戦争で両足を失ったランナーも挑戦している」。年を重ねてもたえず挑戦を続けたいという気持ちが沈さんをマラソンへとかき立てたのだろう。いつも沿道で声援を送る妻の楊鎭嬉さん(49)も、「マラソンを始めて家の改築を決心するなど考え方が前向きになったよう」とほほ笑む。

 どんどん目標は高まり、今年9月にはついに京都の丹後半島で開かれた100キロマラソンに出場した。

 早朝5時に出発、14時間以内に走り切らねばならない。久美浜湾を一周し、七竜峠を二つ越え、最大の難関といわれる碇高原牧場へ。10時間以内に通過しなければならない70キロ地点でタイムオーバー。膝、足首の痛さからの解放と完走できなかった悔しさで複雑な気持ちだったが、3分の2以上の距離までたどりついたことが再度挑戦する自信につながった。

 「自分で脚本を書き、演出、出演するばかりか、観客にもなって感動できるのがマラソンの魅力」と沈さん。走っている時には「ビールが美味しいだろうなーなんて楽しいことを考えている」そうだ。

 最終目標はギリシャで開かれるスパルタスロンに出場すること。距離はアテネ〜スパルタ間の246キロ。なにやら気が遠くなりそうだが、やり残したことを一つひとつクリアしていけばできる、とサラリと語る。毎日昼休みには大阪城公園を5〜6キロ走り、週末には12〜13キロを走るなど地道な練習で夢を膨らませている。

 そんな沈さんにとって気になることがある。100キロマラソンに出た時、参加者の名簿で、在日朝鮮人が自分ひとりだったことだ。

 「同胞で100キロマラソンに挑戦している人がいたら、ぜひ会いたい」。マラソン友達、募集中だ。沈さんと連絡をとりたい人はTEL 06・6340・5727(自宅)へ。

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