名簿存在しながら放置

強制連行された朝鮮人の遺骨、札幌・西本願寺別院で101体発見


 日本帝国主義の植民地支配によって強制連行された朝鮮人は、600万人以上といわれる。無念の死を遂げた朝鮮人の遺骨は、現在も日本全国に放置されたままだ。総聯はこれまで、日本政府の責任を追及するとともに、傘下の朝鮮人強制連行真相調査団が遺骨を発掘し、本籍と死亡理由などを調査。日本市民らとともに追悼集会や追悼碑(納骨堂)建設運動などを進めてきた。こうしたなか最近、101人分のものとみられる遺骨が西本願寺札幌別院(北海道札幌市)で見つかった。朝鮮人名や死亡年月日などが書かれた名簿も発見されたが、遺骨は放置されたままで、さらには「合葬」という最悪の措置が取られ、身元は確認できなくなっている。同院と強制連行した地元企業の責任が問われている。

地元企業で強制労働

6日には、地元総聯、民団も参加し、追悼供養が行われた

 「合葬」とは、特殊な事情がある場合にのみ、遺族の了解を得て寺院などで行われる遺骨の最終的安置方法。ひとつの生命が宿り続けた痕跡としての遺骨の個別的な意味を失わせるもので、時間の経過や引き取り手の有無にかかわらず安易に取る措置ではない。

 まして同院に預けられた朝鮮人の遺骨が戦前、朝鮮から連れて来られて、強制労働の末に死んでいった人々の遺骨であることをかんがみた時、同院に保管されてきた遺骨は、日本政府の責任の元で早急に遺族に返されなければならないものだった。

 調査にあたった「遺骨問題にかかる調査委員会」(西本願寺宗派の僧侶らで構成、以下調査委)によると、今回の遺骨は地崎組(現・地崎工業)、川口組、菅原組、鉄道工業など道内の土建業者による強制連行、強制労働が原因で亡くなった朝鮮人のもので、戦前、戦後を通じ同院に預けられたという。

スチール製の箱にびっしり詰められ、合葬された遺骨

 今回発見された遺骨の数は、地崎工業が保持してきた遺骨遺留品整理簿(朝鮮人犠牲者の遺骨・遺留品一覧表)の資料とほぼ一致している。

 本籍地は多くが南だが、中には黄海道、平安南道など北の出身者も見られる。

 101体の遺骨は同院の納骨堂(78体)と、同工業所属の納骨壇(同院内、23体)に収められてきた。強制連行犠牲者だけで合葬されたものもあるが、一部は骨壷などに記されていた名前などの記録が一切残されないまま、同院納骨堂地下の合葬場所に一般の遺骨と一緒にするという非常に悪質かつあるまじき形で合葬されている。

 地崎工業(本社=札幌市、布目正安社長)側は、合葬の事実は認めたが、公式謝罪はいまだ行っていない。

総聯、民団など調査委

 6日に同院で行われた追悼供養には、調査委から報告を受けた地元総聯、民団の両団体関係者も参列した。同日、会見した同別院代表の升巴隆夫・輪番は、これまで遺骨返還をしてこなかったこと、遺族の了承なしに遺骨を合葬してしまったことを陳謝。「DNA鑑定も選択肢の中にある」としながら、遺骨返還などに最大限努力することを表明した。

 一方同日、地元総聯、民団の両団体と同院関係者、強制連行問題を専門とする日本人研究家などで構成された、遺骨問題処理のための「協議会(仮)」が発足した。

 総聯側代表の蔡鴻哲・札幌支部委員長は「半世紀もの間、祖父や父の消息を今か今かと待ち望んできた家族の心情を考えると、同じく強制連行された父を持つ1人として胸がつぶれるような思いだ。今後は協議を重ねながら、道内の強制連行問題にも包括的に取り組みたい。来年には全道的な集会も開く予定だ」と述べた。

 国際法、そして人道主義の見地からも、加害責任者が謝罪し、早急に遺族に遺骨を返還すべきだ。

 問題の根本的な責任は、発生原因である植民地支配と強制連行、強制労働を行った日本政府にある。

 「日本政府と企業には責任を持って遺族を探し出し、遺骨を遺族のもとへ返還する義務がある。平壌宣言の精神に沿って1日も早く過去の清算が成し遂げられなければならない」と関係者は語る。(李明花記者)

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