医療−最前線
院内感染
東京都内の病院で起きたセラチア菌による院内感染問題がクローズアップされている。新聞報道によると衛生管理のずさんさが院内感染の要因の一つだと指摘している。
院内感染する菌は健常者にはほとんど影響ないが、病気で抵抗力が落ちている入院患者にとっては大敵である。今回の事故のように不幸にも死亡するケースがある。入院施設を抱える各病院ではマニュアルを作り日常的に防止を心がけている。 私が勤務している病院では院内感染の防止として次のような対策を講じている。@感染症ハンドブックを作成し、代表的な感染症の種類、特徴、予防対策、消毒法をこまめに説明しているA感染症が起きたときのためにその対策マニュアルを完備しているB院内感染対策委員会を月1回開きCメーカーなどから講師を呼び勉強会を随時開き看護婦は勿論、一般の医療従事者も院内感染問題に十分関心を持ち、日ごろから注意しているD感染が起きれば院内感染対策委員会に報告し委員会から最寄の保健所に必ず連絡する。 感染の経路は空気、飛沫(ひまつ)、接触感染などであるが、感染の菌は医療従事者、特に看護婦の手から感染する事が多い。そのような事で感染予防の基本は手洗いであるといえる。あらゆる処置の前後に必ず手洗いする。手洗いの原則は「一処置一手洗い」だ。また、爪を短く切っておくこと、時計や指輪は必ずはずしておくこと、手首まで洗う事など徹底している。 今回のような事件は他人事ではなく、日常的に感染防止に心がけることがどれだけ重要かを示したものと言える。(李秀一・医療従事者) |