03年度から朝鮮学校で「週5日制」

試験導入校の経験から


新教科書、週5日制についても議論が交わされた教研集会
(1月26日の東日本集会、初級部理科分科)


 2003年度からの新カリキュラム移行にともない、朝鮮学校でも週5日制が始まる。ただし、2002年度から完全週5日制となる日本学校とは違い、土曜に休むのは月1回または隔週。教科科目の授業を月〜金のみにして土曜の授業をなくし、休校にしない土曜日はさまざまな課外活動や日本学校で行われる「総合学習」のような活動にあてるのがポイントだ。2000年度から一部の学校で試験的に導入し、研究を行っている。1月26日の東日本教研集会では、そうした経験をまとめた冊子が配布された。そのうち2校のケースを見よう。

生徒・保護者に好評

 東京第1初中(荒川区)  1学年2クラスの、初中級学校では規模の大きな部類に入る学校だ。2000年度から週5日制の研究が始まり、今年度(2001年度)で2年目となる。

 同校では今年度を迎えるにあたってまず、週5日制の目的を再確認するとともに昨年度の経験を分析した。さまざまな課外活動が子どもにとっていい経験であったのは誰もが認める一方で、学年ごとのばらつきや教員の問題意識の低さ、経験・準備不足が目につくという欠点が明らかになった。

 そこで今年度は、教務委員会の責任のもと実施要綱と年間計画を作成し、各学年単位、また初級部低学年、同高学年、中級部の各集団単位で組織的に進めていけるようなシステムを整えた。

 同校では今年度、第2、第4土曜を実施日とし、月によって課外授業を2回行う月と1回は休校にする月を分けた。行った活動内容は@課外学習(昆虫観察、写生会、芸術鑑賞、講演会、美術展など)A課外活動(小運動会、水泳、スキー、スケートなど)B学校外活動(図書館利用、交流会、社会見学、米作りなど)――である。

 その結果、子どもたちが@知識の幅を広げ授業で学んだ内容をしっかりと自分のものにしA情操教育とともに公衆道徳を身につけB助け合いやリーダーシップなど、集団行動における相互のコミュニケーションを磨く、いい機会となった――と分析している。

 ちなみに同校では休校となる土曜の過ごし方について、児童生徒、保護者からアンケートを取った。低学年は「家で過ごした」44%、「家族で出かけた(親せきの家も含む)」30%、「友だちと過ごした」18%、「塾に行った」9%という結果だった。高学年は「友だちと遊ぶ」「クラブ活動」「家で過ごす」「塾」「家族と買い物」などで、中級部は「クラブ活動」が多かった。

 子どもたちの意見としては「祖父母や親せきの家に行く回数が増えた」「ゆっくり休めて疲れが取れるのでうれしい」「普段できないことができていい」などが、保護者からは「時間のゆとりができた」「祖父母や親せきの家に行く機会が増え、みんな喜んでいる」などの一方で、「地域の技術者や発明家、芸術家たちから教えてもらうことはできないだろうか」「英会話、コンピューター、読書教室など、自由に学ぶ機会があればもっといい」「もっと積極的に公共の施設を利用すべき」などの意見が寄せられた。

学校の外へ出よう

 東京第8初級(世田谷区)  今年度から初めて取り組むことになった同校では、まず昨年度の2学期に教員の間で週5日制に対する解説、学習を行い、それにもとづいて構想を練った。3学期には各自の構想を持ち寄って議論を重ね、今年度の計画案を作成した。

 そこで同校が立てた原則は@全教員の総意と構想に基づき、企画から実行まで責任を持って実施するAわが校の特色を生かして近年の蓄積と新しく行う内容をうまく組み合わせながら実施する――というもの。実施日は月1回。@子どもたちが主動的に活動し、その思考力と創造性を高め民族性を育めるA年齢的特性に合わせて時期や連続性を考慮し、学期に1回は低学年、高学年がそれぞれ独自の課外活動を行うB子どもたちが経験、体験したことがなく教育的に意義が大きい新しい内容を積極的に導入し、幅を広げる――内容で進めようと合意した。

 こうした計画に沿ってこの間、交通ルールに関する学習、民俗遊戯の日(端午節)、図書館訪問・プラネタリウム見学、敬老会、写生会、福祉施設訪問、クラス別の課外活動、民俗芸能・餅つき、スポーツ大会などを行った。

 とくに9月、地域の同胞高齢者を招いて初めて行った敬老会は、招待状やプレゼント作りから公演準備などすべてを子どもたちの力で行った。招待された高齢者も大喜びで、子どもたちも高齢者を尊敬し大切にしなくてはいけないという気持ちを強くするいい機会となり、今後、毎年行うことにしたという。また11月には、近くにある高齢者施設を訪問し、小公演を披露した。これも、地域住民との交流を図り、福祉問題への関心を育むうえで大変効果的だった。

 もちろん子どもたち自身が土曜の活動をとても楽しんでおり、彼らの話を通じて保護者らも大きな関心を示し、支持を寄せるようになったという。

 全校生が約20人という同校では以前からその機動性を生かし、学校の外に積極的に出て授業や校内で学べないことを学ぶことに努めてきた。この経験が、今回の週5日制実施に大きく生かされた。今後も、学校の実情に合わせた特色ある活動を追求し、2003年度からの完全実施に備えていきたいとしている。

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