コリアンとして生きる(6)
自分は朝鮮民族の一員/祖国訪問で改めて確認
大阪電気通信大学工学部2回生 鄭剛志 僕は最近まで、朝鮮人であるのが嫌だった。が、留学同に参加しているうちに、いつのまにか朝鮮人である自分を好きになっていた。 留学同の存在を知ったのは大学の受験時だ。家庭教師の先輩が留学同は面白いから参加してみてはどうかと勧められてから。その時は朝鮮人である自分が嫌で、絶対に行くものかと思っていた。大学というところは勉強やアルバイトをしたり、友だちと遊ぶというイメージがあったし、そうするつもりだった。いくら同胞の友人から誘われても断ろうと考えていた。 大学に入るとさっそく、高校時代の友人に誘われた。最初は断っていたが、あまりにも熱心だったので、とりあえず参加してみることにした。見慣れない人に囲まれ正直言って嫌な気分だった。学習会も難しくてすぐに理解できなかった。ただ、友だちができたことはうれしかった。大阪だけでなく、全国に友だちができた。 とは言え、まだ朝鮮人という自分を受け入れたわけではなかった。19年間使い続けてきた通名に「愛着」もあった。 そんな自分に転機が訪れたのは、留学同主催のスプリングセミナーに参加してからだ。そこにいたトンムたちは朝鮮半島や在日の問題についてしっかり勉強しており、何よりも朝鮮人であることを誇りに思っていた。「自分とは何かが違う…」――必死になって何が違うかを考えた。そして、祖国や在日朝鮮人に対する考え方が違うということに気づいた。 昨年8月、留学同訪問団の一員として祖国を訪れた。誰に誘われたわけでもない。自ら祖国に行ってみて、ほかのみなと自分は何が違うかを探してみたいと思ったからだ。 祖国では、見るもの、聞くもの、行く場所すべてが新鮮だった。日本で話を聞くよりもずっと勉強になった。祖国の人々はたいへん優しく、僕たちをあたたかく迎えてくれた。時には泣き、時には笑い、とてもよい思い出になった。 自分が日本でどのような立場にあるのか、自分はどの民族の人間なのかを改めて確認できた。それでも、祖国訪問だけで、自分の民族の歴史についてすべて理解できたわけではない。 しかし、祖国訪問を通じて在日朝鮮人であることを誇りに思えるようになり、朝鮮人として堂々と胸を張って生きていく、新たな出発点に立つことができたのは明らかだ。 留学同という場は、友だちと出会い、勉強していく場だと思う。ここでいう勉強とは、自ら進んで学び自分を知るということだ。留学同の活動に参加していなければ、得られなかったことだ。 学生時代に自分についてもっと振り返り、多くのことを学びたい。 今、僕がもっとも願うことは祖国の統一だ。統一とは北と南の人が1つになることを意味しているが、僕は統一した後に北と南の人たちが1つの民族として仲良くしていくことが本当の祖国統一だと思う。 |