春・夏・秋・冬

 都合の悪いことが起きると目を外に向けさせる――、使い古されてきた政治手法である。だから、政治が突拍子もない意思表示をしたり行動に出ようとする時には、必ず裏に何かがある、と疑ってかかった方がよいとは、この社会を見続けてきた者たちの一家言である

▼停戦という名の戦争状態が継続しているにもかかわらず、「兵力を減らし軍事境界線から後退させろ」「ミサイル開発・輸出を中止しろ」「これらの要求を呑めば話し合いに応じてやろう」と、非現実的な武装解除に等しい要求を居丈高に朝鮮に突きつけてきたブッシュ政権。その集大成ともいえるのが「悪の枢軸」発言だった

▼前者の要求の裏には何があるのか。米国政治に詳しい友人は「政権の出自。大統領選挙に勝ったとはいえ、得票数では負けた。世論の認知が得られない政権だけに、対話政治の印象の濃い前政権との違いを際立たせる方法論として『正義』を強くアピール、対決を口にした」と解説する。後者については「破綻したエネルギー供給最大手のエンロンと政権の疑惑の封じ込め」とあっさり片付けた

▼ブッシュ一家が軍需、エネルギー産業にどっぷりつかり、癒着関係にあることについては言及したことがあるが、実は今、米議会では「エンロン疑惑」の解明が大きなテーマとして浮上している

▼「母がエンロン株で損をした。癒着などない、とブッシュは否定に躍起だが、損を承知で株を買う人間などいない。プレゼントされていたのかも…」。見えにくい政治。「裏を読む必要、大いにあり」を実感する。(彦)

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