地球環境映像祭に出品

クロハゲワシの長い旅

朝鮮半島での越冬を追う


 力と威厳の象徴として、鳥の王者と呼ばれるクロハゲワシは現在、絶滅危ぐ種となっており、その保護の緊急性が叫ばれている。生息地をモンゴルとして、中国、朝鮮の新義州を南下して非武装地帯・中央の鉄原で越冬するクロハゲワシ。

 1月31日、東京で開かれた第10回地球環境映像祭に出品されたドキュメンタリー映画「クロハゲワシの長い旅」(パク・サンイル監督)。この映画は毎冬、230羽が越冬するクロハゲワシを危機から救おうとする南朝鮮の保護チームの執念の観察を追ったもの。

 保護チームは99年3月、故郷へ飛び立とうとする2羽のクロハゲワシに衛星発信器を取りつけた。この2羽は追跡装置をつけられた最初のクロハゲワシになった。発信器から出た信号は衛星ノアによって受信され、フランスの地上局を経由して、電子メールでモンゴルの研究チームに送られた。

 こうした最先端技術によって、クロハゲワシの生態が、カメラにあますことなくとらえられている。映像が美しく非常に魅力的。

 モンゴルのバガ・ガザリン・チョローの絶壁に100年以上も伝えられてきた頑丈そのものの巣。代々、強い種がここに陣取り、巣を補強しながら子育てを行ってきたこと、クロハゲワシの子育ては、パートナーによる完璧な「男女平等」で行われ、オスがメスと交互に卵を温めている様子などがユーモアたっぷりのナレーションで語られていく。

 さらに感動的なシーンはここで巣立った若い2羽にも発信器がつけられ、その大追跡が行われたこと。

 結果――。2羽はモンゴル南東、イフ・ガザリン・チョローへ飛び、中国の遼寧省、朝鮮・新義州を通り鉄原へ。約一千数百キロの旅であった。しかし、ここで多くのクロハゲワシが命を落とす。南朝鮮の環境汚染の結果なのだ。鋭い問題が提起された秀作である。(問い合わせ=TEL 03・3585・8957)

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