世界・バレエ界への登竜門 ローザンヌ国際コンクールで
最優秀の快挙

北九州朝鮮初中級学校卒 仏留学中の崔由姫さん(17)


 世界のバレエ界への登竜門として知られる「第30回ローザンヌ国際バレエコンクール」(1月27日〜2月3日、スイス・ローザンヌ・ボーリュ劇場)で、北九州初中を卒業し現在フランスの日仏芸術舞踊センターに留学中の崔由姫さん(17)が、受賞者10人中、世界の一流バレエ団で1年間研修できる「プロ研修賞」(3人)と、コンテンポラリー・ダンスに優れた人に与えられる「コンテンポラリー・ウェリエーション(現代舞踊)賞」(1人)を同時に受賞し、最優秀の成績を収めるという快挙を成し遂げた。(羅基哲記者)

ローザンヌ国際コンクールで最優秀賞の成績を収めた崔由姫さん

 同大会は、世界のプロバレエダンサーをめざす15〜17歳の若手の才能発掘と育成を目的に開かれている世界3大バレエコンクールの1つ。今大会には21カ国から115人(女子100人、男子15人)が参加し、予選を勝ち抜いた32人が準決戦に、15人が決戦に進んだ。

 コンクールの模様は、準決戦からインターネット上で、リアルタイムで放映された。崔さんも本名そのまま「チェ・ユヒ、コリア」として紹介され、華麗な演技を披露した。

 インターネットを通じて崔さんの演技をかたずをのんで見守っていた両親の崔清繁さん(44)と南清玉さん(41)=北九州市在住は、「堂々と華麗に踊り、自分の力を100%発揮したと思う。由姫の名前が告げられた時は本当にビックリした。これまで由姫を応援してくれた同胞をはじめ関係者の方々に感謝したい。プロへの道はこれからだが、頂点をめざしてもらいたい」と口をそろえて語っていた。

 崔さんの中級部3年時の担任である同校の孫明浩教員(32)は、「国際舞台で朝鮮の名をアピールするという硬い決意でフランスに渡ったが、それを立派に成し遂げた。本当にうれしい。感動で胸がいっぱいだ。学生時代、運動は万能で勉強も着実にし、時間と努力を惜しまず、何事も最後まで成し遂げるという性格だった。引き続き頂点をめざし、まい進してほしい」と述べていた。

 崔さんの活躍は、在日同胞に夢を与えるとともに、バレエはむろん、各分野の国際舞台での活躍をめざす同胞たちにとって、活力、励みになるだろう。

 崔さんは5歳からバレエを始めた。「ピアノとバレエ、どっちが好き」とのオモニの問いに、「バレエ」と答えたのがきっかけだった。

一昨年、第9回パリ国際バレエコンクールでのクラッシックバレエジュニア部門で2位に入賞し、フランスを代表するバレリーナ、エリザベート・プラテルとともに

 発表会から各種コンクールに出場し、クラシックバレエ部門ではつねに上位入賞あるいは優勝を手にした。審査員の評は「不思議な『鮮やかさ』を持つダンサー」。

 そして北九州初中卒業後、プロをめざし一昨年9月から本場でバレエを習うためフランスに渡った。

 フランスでの日課は、学習と練習の繰り返し。練習は日本でのそれとはまるで違っていた。徹底した基礎レッスンの反復、体の機能が根底から作り直されていった。

 講師はオペラ座の元エトワールたち。自らのプライドをかけて特訓し、自らに完ぺきを求めてきたように、訓練生にも完ぺきを求める。

 そして崔さんはフランス留学中、世界3大バレエコンクールの1つである第9回パリ国際ダンスコンクール(一昨年11月20日〜12月3日)のクラシックバレエジュニア部門で2位に輝くなど、数々の賞を受賞した。

 レッスン以外は、週2回のフランス語の授業と、バレエ史や音楽の授業を受ける。フランス語は今ではすっかり上達し、日常会話にはまったく不自由しないレベルにあるという。

 崔さんは本社発行の「イオ」2001年9月号で、「私はチェ・ユヒ、コリアン。それをしっかり見つめることで初めて自分の踊りを踊ることができる。自分にしかないものって大事。頂点を極めていくとテクニックはほとんど変わらなくなる。大切なのはその人が発する個性で、言葉に出来ない魅力に人々は魅了されていく」と語っていた。

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