私の趣味―広告使ったはり絵
夏休みの母子工作づくりで好評
大阪・生野区 安和世さん(47)
2000年11月、大阪で開かれた「ウリキョレ女性展」で洪選手の勇姿を収めた作品は、一躍注目を浴びた。「みんなびっくりしてました。広告を使ったところに驚いたみたいですね」と安和世さん(47)はにっこり。 祖国統一を願うさまざまな立場の女性たちが、各自作品を持ち寄って開かれる「ウリキョレ女性展」に、96年の初回から欠かさず出品している安さん、洪選手をモデルに選んだ理由を「ミレニアムを迎えた2000年の作品として、ウリ民族にとって代表的な出来事を作品に残したいと思ったから」と話す。 歴史的な南北首脳会談の実現と在日朝鮮人世界チャンピオンの誕生、これらふたつを作品に納めることを決め、作品の制作に取りかかるが、ユニークなのはこれらの作品が広告を使ったはり絵というところだ。 「やろうと思ったとき、そこに広告があった」のがそもそものきっかけ。10センチ四方に切り取った広告を片手に、ピンセットでちぎってはのりをつけ、下絵を書いた台紙に貼る作業を繰り返すうちに、広告が微妙な明暗や立体感を出すのに効果てきめんということに気がついた。聞くと、洪選手のパンツはブルーのフリース、顔は梅干の広告だとか。 「通販のカタログなんかだと、色が豊富でホンマ、良いんです」 製作日数は20日間。もっとも神経を使ったのは「下絵」で、これで作品の85%は決まるという。 女性同盟生野東支部・東中川2分会で中心的役割を果たしている安さんは、4年前から支部の「オモニマダン」で子供の夏休みの工作づくりを母子一緒にすることを提案し、作品の制作を手伝ってきた。粘土細工、はり絵、ビーズなど、ここで作られた作品は2学期の初めに開かれる夏休み工作展示会でみごと「最優秀賞」に輝いたこともある。彼女は知る人ぞ知る地元の庶民派アーティストなのである。しかし、はり絵や粘土のほかにも趣味はたくさんあって、チャンゴやバレーボールの練習などにも励んでいる。中でも「いちばんの趣味は音楽」。稲垣潤一のファンで、コンサートにも足を運ぶ熱血ぶり。「オモニだってときめきたい。ときめくものを持てるって素敵なことと思う」。やりたいことはまだまだたくさん。油絵、レース編み、タペストリー…。何でもチャレンジしたい。 昼間は工場で働いて、夜は女性同盟の活動や文化サークルなどで自分を磨く。夏休みの工作づくりには、噂を聞いてやってきた日本学校に通う同胞の子供も含まれていた。安さん自身ずっと日本学校に通ってきたことから、同胞同士のつながりをとても大切にしている。最近では隣の中西支部でも母子一緒の工作づくりが始まった。 |