誕生日迎える金正日総書記
国づくりのビジョンを探る
16日は金正日総書記の誕生日である。総書記が目指す国作りはどういうものなのか、5つのキーワードから探った。
強盛大国 強い国力、不自由ない生活−今年から最終段階に 「われわれの言う強盛大国とは、社会主義強盛大国です。強い国力のもとであらゆる分野が興隆し、人民が不自由なく住める国が、社会主義強盛大国です」(金正日総書記)。 現在、めざしている強盛大国作り、その全容は、総書記の指摘に集約されている。他国によるいかなる支配や隷属も許さず、思想と政治、軍事、経済などすべての分野で自主、自立、自衛が実現された、例えれば世界的水準に達した国家体制をいう。 今年からはその最終段階に入った。思想、政治、軍事の3つの問題は解決し、残るは経済だけだからだ。事実、元旦の労働新聞など3紙共同社説でも「わが革命は党の強盛大国建設構想を全面的に花開かせる時代に入った」と指摘する。 そして、金日成主席の誕生90周年と朝鮮人民軍創建70周年という「民族最大の祝日」を経済強国建設という成果で輝かせるというのが今年、強調されているスローガンだ。 羅南の烽火 先端技術による自力更生−経済復興・発展のけん引力 咸鏡北道にある採掘設備を製作する企業所、羅南炭鉱連合企業所から生まれた精神のこと。@朝鮮労働党が与えた課題は無条件貫徹するA最先端技術に基づく自力更生――が主な内容で、経済復興・発展のけん引力となっている。 金正日総書記が昨年8月19日、1カ月近くにわたるロシア訪問からの帰途、同企業所に立ち寄り、労働者らの功労を高く評価したことから生まれたものだ。 同企業所は採掘工業部門の機械化実現の柱として、炭鉱の近代化、石炭の増産で中心的役割を果たしてきた。総書記が評価したのは、難解な技術的問題を自力で解決して最先端技術の粋を集めた設備や機械を作り出したことだ。 「羅南の烽火」は、50年代に千里馬運動を生んだ「降仙の烽火」、98年の「苦難の行軍」時期に旗振り役を果たした「江界(慈江道)精神」「城鋼(城津製鋼連合企業所)の烽火」を継承したと言われるが、「苦難の行軍」を終えた後に生まれたという面で次元が異なる。同じ自力更生でも、「現代的な科学技術に基づいた自力更生」(労働新聞2001年12月3日)なのだ。 4大第一主義 先軍政治で社会主義守る−「対テロ戦争」情勢に対処 今年元旦の3紙共同社説で初めて登場した言葉で、「わが領袖、わが思想、わが軍隊、わが制度」の4つが含まれる。これは言い換えれば、総書記の思想と指導に沿って、軍隊が中心的役割を果たしながら、社会主義現体制を守っていこうということだ。今後も先軍政治を行っていくことを、改めて強調したものともとれる。 米ブッシュ政権の「対テロ戦争」などの世界情勢を考慮し、万全の防衛態勢を整える意味でも、内部固めがいっそう求められる。 とりわけ、わが制度第一主義を具現するうえで、経済建設を推進して人民生活を盛り立てることが最も重要だ(共同社説)としている点は、実情を十分に把握したうえで打ち出された現実路線と言える。食糧問題をはじめ人々の生活を改善、充足していかなければ、社会主義の優位性を発揮することができないからだ。 科学技術重視 短期間に世界最先端水準に−実現へ国力を総動員 「羅南の烽火」精神でも強調されているが、朝鮮では現在、科学技術を発展させることが重要課題として提起されている。中でも、情報技術(IT)と情報産業の発展に力が注がれている。 科学技術問題を取り上げた労働新聞1月23日付社説によると、総書記は最近、経済の現代化を促進するため科学技術を発展させるよう再び強調したという。 実際、昨年平壌市郊外に建設された家きん牧場、養鶏工場、ダチョウ牧場、基礎食品(調味料)工場などはすべてオートメ化されている。労働新聞が年初から紹介している、平壌、咸興の両基礎食品工場、新義州化粧品工場、寧辺絹織物工場、順川靴工場の記事でも、これらの工場のオートメ化が重要な課題として提起されている。 目標は、@短期間に経済と科学技術を世界最先端水準に引き上げAわれわれの力と知恵で科学技術強国を建設することにある。そのために、B全国力を総動員して科学技術を発展させる――というのが総書記の政策である(金正日総書記の科学技術戦略、1月23日付労働新聞)。 「主席の意思と偉業を実現」 軍隊と人民の確固たる意思 今年の共同社説には、「白頭の血統」という言葉が2カ所登場する。 「…主席の生前の意思と偉業を最後まで実現させ、金正日総書記を戴き白頭の血統をしっかりと受け継ごうというのは、わが軍隊と人民の確固たる意志である」「白頭の血統を受け継ぐ朝鮮革命の未来は限りなく明るい」 この記述についてはさまざまな関心が向けられている。 この点について、労働新聞1月3日付政論で、ソン・ミラン記者は以下のように言及している。 「数千万朝鮮人民の心の中には、百戦百勝に向けて歌う白頭山将軍星の歌があり、先軍の日差しの歌がある。白頭山将軍の血統、パルチザン将軍の血統で子々孫々続く朝鮮民族の前途には、勝利と栄光のみが待ち受けているだろう」 朝鮮では、金日成主席、金正淑女史、金正日総書記が「3大将軍」である。ちなみに、ここで言う白頭山将軍は金正日総書記のことである。 |