中国・大連に生産ライン
取引先は大手商社、アパレルメーカー

婦人用水着の受注生産業「ビー・エム・シー」 金光男専務に聞く


専務の金光男さん
 婦人用水着は、各社こぞって水着ショーを開催するほど、需要が多い。婦人用水着の受注生産業「ビー・エム・シー(BMC)」(大阪・松原市)は、中国・大連にある現地法人の工場と、日本国内の自社工場と専属工場に水着の生産ラインを持ち、伊藤忠商事などの日本の大手商社、アパレルメーカーからの受注生産に対応している。同社の商品は、有名百貨店、チェーンストアなどで販売されている。1社当たりの生産量は国内トップクラス。専務の金光男さん(51)に、会社設立の経緯、大連の生産ラインなどについて聞いた。

家業が出発点

 ―設立の経緯は。

 23年前、大阪に婦人用水着の縫製会社「カナザワ縫製」を設立した。中級部1年の時から家業の縫製業を手伝い、ミシンを踏んでいた経験を生かしてのことだ。当時、大阪には同様の縫製会社が数多くあり、同胞業者も少なくなかった。

 「ビー・エム・シー」は、その会社を受注窓口にして、7年前の1995年、日本人社長とともに設立した。中国に生産ラインを設け、生産規模を拡大するのが目的だった。

 ―その結果は。

 工場の不動産取得費と人件費を抑え、低コストで質のよい製品を大量生産できた。日本からの技術指導は当然必要だったが、中国での生産に早くから取り組んだ結果、一昨年の3万着生産から、昨年は5万着まで伸びた。前年実績比約66%増だ。今年の目標は18万着だ。

下着工場を利用

 ―なぜ大連に工場を。

「ビー・エム・シー」の受注窓口、「ナカザワ縫製」で生産された婦人用水着

 現在、機械、電子、繊維などあらゆる業種が中国に進出しているが、その多くは上海に集中している。大連を選んだのは、ランジェリー製造工場が多数あったからだ。婦人用水着の縫製は特殊な部門なので、ランジェリー製造の技術を生かすのが最適かつ容易だったからだ。

 水着は、商社やアパレルメーカーから依頼されたデザインをわが社でパターンメイキングし、大連の工場で生産。検品を経て日本に輸入、納品している。水着のパーツは通常、10パーツで、工程は60〜100を数える。

 今では、他社も大連に水着の縫製工場を立ち上げようとする動きがある。

現地事業の拡大も

 ―今後の課題は。

 いろいろあるが、例えば検品を自社内で行う問題が挙げられる。現在、現地業者の工場まで運んで検品を行っている。検品業は繊維商品全般の検品を行える許可が必要で、わが社にはその資格がない。そのため、商品をわざわざ検品業者に運んで検品を受けなければならない。不合格になると納品日に間に合わせることが難しくなる。

 だが、自社内で検品できるようになれば、仮に不合格が出ても再縫製、再検品の時間が短縮できる。検品業の認可を受けることも検討中だ。認可されれば、水着だけでなく、繊維商品全般の検品資格を得られることから、事業はさらに拡大されるだろう。

 また、水着の中国国内での販売も検討中だ。日本の人口の10倍以上という中国の人口スケールをビジネスに生かしたい。(羅基哲記者)

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