福祉連絡会と共催、愛知中高で福祉セミナー
高齢・障害者の目線で
介護事業者の趙一来(右)は車椅子の操作方法を教えた(1月) | 聴覚障害者の朴理珠さんは手話の歴史について抗議(昨年11月) |
愛知朝鮮中高級学校(豊明市)で、昨年9月から行われてきた連続福祉セミナーが18日、終了した。
セミナーは愛知同胞福祉連絡会と同校の共催。「福祉問題への関心が高い生徒の要望に応えよう」と企画されたもので、高級部で希望者を募り、月1回のペースで行われてきた。毎回20〜30人が参加した。 福祉連絡会は99年、名古屋で同胞の生活と権利に関するシンポジウムが開催されたのを機に結成された。医師や介護事業者、朝鮮学校、商工会、青商会、同胞生活相談綜合センターの職員がメンバーで、福祉分野における人材育成や同胞高齢者、障害者が抱えるさまざまな問題について意見を交換している。 セミナーの1回目は在日本朝鮮人医学協会東海支部の南洋二会長が「ボランティア精神と在日同胞の歴史」、2回目は同校の卒業生で保育士を目指している大学生の朴英和さんが幼児虐待問題について講義した。 3回目は同胞障害者とその家族が集う「愛知ムジゲ会」会員で先天性難聴の障害を持つ朴理珠さんと手話ボランティアの女性が手話の歴史と実技について話し、4回目は介護事業者の趙一来さんが福祉に対する考え方、車椅子の操作方法について講義をした。5回目の講師は介護福祉士の長谷川勇一さん。介護分野における人材育成の現状を述べた。 講師らは「福祉とは何か」についてそれぞれが携わる専門領域の経験を交えながら話をし、生徒たちの質問にも積極的に応じた。 4回目の講師を務めた趙さんは、高齢者や身障者の目線で、彼らの立場に立った支援を考えていくことが大切だと強調。まずたくさんの人と触れ合い、「自分にどんなボランティアが向いているのかを知ることも必要だ」と助言した。 会のメンバーでセミナーを担当した愛知中高の尹光信教務主任(45)によると、福祉問題に対する生徒たちの関心は年々高まっているという。 そのきっかけは2年前、全校生を対象に行われた大阪の老人保健施設「ハーモニー共和」職員の講義だった。生徒たちは講義を通じて同胞社会における高齢化の問題や課題について理解を深め、「愛知にもハーモニー共和のような施設が必要だ」「これからもこういう機会を作ってほしい」などと感想を話し合っていたという。 同校の生徒は、1年前に結成された愛知ムジゲ会の活動にもボランティアとして積極的に参加している。 尹教務主任は、「同胞専門家の存在や意見に触発される生徒の姿を見て、やってよかったと思った。卒業後、福祉の分野に進もうと思っている生徒にはとくに刺激になっただろう」と話していた。 |