座談会

1世の聞き書きに参加して

朝大「在日本朝鮮人運動論」サークルメンバー


 朝鮮大学校政治経済学部の科学研究サークル「在日朝鮮人運動論」活動の一環として、在日同胞1世の聞き書きに参加した3人の学生に話し合ってもらった。

座談会参加者の(敬称略)

  李昌浩(政治経済学部3年、愛知朝高)
  李浩在(政治経済学部2年、京都朝高)
  朴敬男(政治経済学部2年、大阪朝高)

運動展開の方法論を

 ―1世の体験を聞き書きしようと思った動機は。

 李(昌)  日本という異国で朝鮮人であることを忘れずに生きていくということはどういうことかを知りたくて。高尾山の浅川地下壕に連行された1世の聞き書きを昨年12月に行ったのに続き、今回が2度目だ。

 李(浩)  在日朝鮮人社会の担い手として、1世の歩んできた歴史をきちんと認識しておくべきだと思ったからだ。今回が聞き書き初体験だ。

   私も初めて。高級部時代に地域の朝青活動に参加する過程で、在日朝鮮人運動のために何かできる事をしたいと思い朝鮮大学校に入った。だから、科研サークルを選ぶ際にも、在日朝鮮人運動を展開していく方法論を学べる点を念頭においた。そのために、祖国解放前から在日朝鮮人がどう生きてきたのかという歴史を知らねばならないと思い、参加してみようと思った。

いかに守かが重要

 ―実際に話を聞いてみて感じたことは。

   これまで1世の話を直に聞く機会がなかったので、非常に新鮮でおもしろかった。今回話を聞かせてくださった李秀均さんの知識が豊富で、学ぶ点が多かった。

 李(浩)  解放前、国が奪われたために、父親が殴られても訴える場所がなかったという話が印象的だった。「日本という異国に住みながら民族性を守っている君たち3、4世の方が、自分たち1世よりも愛国者だ」という言葉にはガツンときた。とても励みになる。

 李(昌)  教科書で習うだけでは実感がわかなかったが、その時代を実際に体験した人の話を聞くことで、リアリティーが出てくる。

 ―昨今、民族性の希薄化が進む中でのこうした活動の意義について。

 李(浩)  1世たちは、創氏改名などあらゆる策動の中で民族性を守ってきた。私たちにとっても、環境が異なるとはいえ、民族性をいかに守るかが重要なテーマだ。李さんは、私たちを愛国者と言ってくれたが、その言葉に応えるためにも在日朝鮮人運動の発展に貢献していかねばと思う。そういったことを考える良い機会になると思う。

   2年生になった当初、朝鮮人が強制連行された場所を直接訪ねたり、1世から証言を聞くなどした。そこで話し合われたのは、今の若者が、過去に向き合おうとしないということ。でも、実際は過去があってこそ現在があり、未来があるという歴史の一貫性を知らなければならない。

 民族性が希薄化している要因には、亡国の民の哀しみをよくわかっていないことがあると思う。李さんもそのことをずいぶん強調しておられた。

友人たちも興味

 ―同世代でこういった話は交わされるのか。

 李(浩)  寮に帰ってから友人たちに、聞いてきた内容をかいつまんで話した。中には自分も一度聞いてみたいと話す友人もいた。

   現在、同じ学部の友人3人が北海道など各地で日本人や南の留学生とともに強制連行された同胞の遺骨発掘作業を行っているが、自分たちの手で発掘作業を行うことには誇りを感じるようだ。1世の「恨」(ハン) をはらすのに役立っているというか。

 李(昌)  自分が聞いてきた話を少しでも多くのトンムたちに聞かせて、輪を広げることが大切だと思う。

 ―今後のスケジュールは。

 李(浩)  当面は西東京と埼玉を中心に、10〜12人程度から話を聞くつもりだ。

   私たちが一定の経験を積んでからは、分散してほかのトンムたちと一緒にできればと思っている。サークルメンバーだけでなく、関心がある人なら誰にでも参加してもらいたい。

 李(昌)  私たちが卒業した後も、後輩たちが続けていけるよう、土台を作りたい。(まとめ=文聖姫記者)

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