翻訳文芸「北十字星文学」が好調
庶民の知恵とユーモア
在日同胞の児童文学者韓丘庸さん(66)=京都府在住が主宰する翻訳者養成グループ「北十字星文学の会」が年2回文芸誌を発行している。
「北十字星文学」と題された雑誌がそれ。昨年末までに7号まで刊行されている。タイトルはギリシャ神話の「白鳥座」の別名「北十字星」から取られた。韓さんは「天の川を結ぶこの星座が、朝鮮半島と日本列島の位置関係を思い起こさせ、国と国の心を通わす架け橋になればという思いを込めて誌名にしました」と語っている。 創刊から7号までに載った翻訳は実に多岐にわたる。南北朝鮮の小説、詩、エッセイ、紀行など、実に幅広く紹介されている。おそらく一般の人々には目にふれないものばかりで、その意味では大変貴重な資料と言える。 会はただ翻訳だけではなく、朝鮮との縁が深い寺院の文学歴史散歩や研究交流会も続けてきた。真摯(し)で誠実な積み重ねが結実したものが、この雑誌に込められている。 この会は97年1月設立。京都や滋賀、大阪、神戸、奈良などに住む20〜70歳台の教員や会社員、主婦などが所属している。所属に関わりない在日同胞、日本人、留学生らで構成する翻訳者養成グループである。 会のこれまでの活動の集大成として昨年刊行されたのが、本紙にもすでに紹介した朝鮮半島の民話21編を収録した「にわとりを鳳凰だといって売ったキムソンダル 南北朝鮮の昔ばなし集」である。民衆を搾取して抑圧する権力者に一泡吹かせる痛快な話や困った時に知恵と勇気で難局を乗り切る教訓譚が網羅されている。 こうやって見ると、日本の昔話にも共通するものも多く、海を渡った文化の流れを実感できる。 問い合わせは、北十字星文学の会(TEL 0797・83・6636)。 |