よりよいウリハッキョを−現場の取り組み−(4)
課外授業・活動の強化、
学力向上
99年度から取り組み
大阪朝高 呉栄哲副校長
進路別に集中学習
2003年度から朝鮮学校のカリキュラムが新しくなるのを前に、大阪朝高では1999年度から、教職員が一丸となって教育内容の充実化に取り組んできた。学校創立50周年を迎える2002年度までの4年間を期間とし、@クラス活動と朝青活動の強化A中等教育最後の3年間となる高級部における学力向上B文化・スポーツ活動の強化――に重点を置いたものだ。 こうした取り組みをやろうとしたきっかけは、98年度の新入生の中から、国立など日本の大学を目指すことを理由に、中級部卒業後、日本の高校に転出する生徒が多数出たことだ。現在、まだ計画の実施過程にはあるが、そうした傾向は減少している。生徒の数も、当時と比べて1クラス分増えた。 まず@では、2003年度から全朝鮮学校で実施される週5日制に先立ち、土曜日に課外授業を実施することにした。内容は、民族性を培うことに焦点を当てた。 例えば2001年度の1学期には、生徒たちが出身校の初級部および附属幼稚班で教育実習を行った。2学期は居住地域の1世同胞からトンネの歴史を聞き取り調査し、それをまとめて11月の民族文化祭で発表した。年間を通じて、これまで民族教育で自分たちが何を学んできたのかを生徒一人ひとりが確認できるようにしている。 Aでは、1年生入学時、卒業後の進路に合わせて学べるよう普通科の中に新たに特進班を設けた。2年進級時には、普通科の生徒は普通科コース、情報商業コース、文系進学コース、特進班の生徒は文系進学コースか理系進学コースを選択できるようにし、生徒たちの志望に合わせたきめ細かい対応を取った。各コースの必修課目と選択科目は、選んだコースの内容が集中的に学べるように組んだ。 また日本の大学への進学を希望する生徒には、夏休みと冬休みに、センター試験のレベルに対応できるよう補習(復習)を実施した。こうした結果、中級部卒業後、日本の高校に転出するという現象が減った。就職を希望する生徒への指導にも力を注いでいる。 このように、早目早目に進学、就職に備えた環境を整え、生徒一人ひとりに対する進路指導、心のケアにより多くの力を注いできた。生徒たちもはっきりとした目標を持って学業に取り組むことができ、学力は着実に向上している。これらは父母らが強く望んできたことでもあり、多くの支持を得ている。 8割がサークルに Bでは、サッカー、ラグビー、ボクシング部を強化サークルに指定した。指導・財政・練習日程などあらゆる面で学校側が積極的にバックアップしている。 その結果、サッカー部は1999年度のインターハイ、2000年度の全国選手権に大阪代表として出場。ボクシング部の選手は、1998年度の全国選抜と2002年度のインターハイで金メダルを獲得した。ラグビー部は、2000年度の府大会(新人戦)でブロック優勝するまでに至った。いまや本校は、近畿地方で知名度の高い学校となった。 選手たちは誇りを持って試合に挑み、その活躍する姿は同胞らに力と勇気を与えている。 また、ほかのサークルにも刺激を与え、全校生徒の8割以上が参加するほど、サークル活動は活発化している。 生徒たちは学校生活が「楽しい」「充実している」と肌で感じるようになっている。その表れとして、遅刻は1日に1クラス1人いるかいない程度で、欠席者はほとんどいない。 100回超える討議 以上の取り組みは、校内、関係機関との100回を超える討議、共同研究などを経て立案されたもので、シミュレーションも行った。 討議の土台は、家庭訪問とは別に実施した保護者との個人面談で交わされた内容に基づいている。21世紀の同胞社会を担う子どもたちをどのように育てるべきか、真剣に語り合った。このような保護者との個人面談は、今後さらに教育内容を充実させていくための参考にするため、引き続き実施していくつもりだ。 今回の取り組みの過程で思ったことは、教育内容をより充実させるためには「現状維持」ではなく、ひとつずつ古い壁を取り払い、新しいものを作り出していく必要があるということだ。 教職員らはこれからも、生徒たちの才能を100%発揮させるためによりよい教育環境を整え、わが校へ入学した子どもたち全員がわが校を巣立っていくよう、全力を尽くしていく構えだ。 |