謝罪、補償 日本政府に促す運動を

日本軍性奴隷制問題国連提起から10年
東京で日本市民ら記念集会


 国連人権委員会に日本軍性奴隷制問題が提起され、10年経過したことと関連し2月26日、東京・神田の内神田社会教育会館で「いまこそ『慰安婦』問題の早期解決を」(主催=日本軍 「慰安婦」・強制労働国連連絡会など)と題する集会が行われた。集会では1992年2月、同委員会で日本軍性奴隷制問題を初めて提起した弁護士の戸塚悦朗・神戸大学大学院助教授が記念講演を行った。

 戸塚氏は、91年に南朝鮮在住の性奴隷被害者である金学順さんが名乗りをあげたことがきっかけになったと述べ、その後この問題への日本軍の関与を証明する資料が公表されたことも後押し、国連で運動を始めることになったと振り返った。

 その後、北南朝鮮をはじめとするアジア被害国の政府やNGOが次々と合流、協力し合うことで日本政府に対する追及の声が高まり、国連人権委員会など各種委員会で日本政府に国家的な謝罪、賠償、真相究明を求める勧告が出されるようになったと報告。日本の人権問題で国連がこれだけ積極的に介入した事例はないとその意義を強調した。

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 しかしこの間、日本政府は被害者の声に耳を傾けず、国家的な謝罪と補償を回避。びほう策として「女性のためのアジア平和国民基金(国民基金)」を運営した。

 戸塚氏は、国際的な世論の盛り上がりにもかかわらず性奴隷問題が被害者の要望や国連勧告に沿って解決できなかったのは、日本政府が「国民基金」方式に固執し、被害者にそれを押しつけてきたからだと指摘。日本政府には国際人権条約や国連勧告を順守する意識が徹底して欠如していると非難した。

 またこの間、外務省が国連における論議や各種勧告を隠とく、わい曲し、政治家や市民を真実から遠ざける「大きな誤りを犯してきた」と具体的な事例を列挙しながら断じたうえで、今後この事実を国会審議を通じて明らかにしていくことが重要だと語った。

 そして、今後は国連の情報を日本語化したり、NGOが情報源を独自に確保し、外務省の情報独占を阻止するべきだと提案。国連勧告が実施されるよう力を合わせていこうと呼びかけた。

 また戸塚氏は、日本政府に国連勧告を履行させるうえで急務な課題は現在、社民、民主、共産の3党が国会に提出している戦時性的強制被害者問題解決促進法案の成立だと強調。被害者の意見が反映された同法案が国会に上程されたことは、国連における運動が実を結んだものだと話していた。

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