みんなの健康Q&A
花粉症(上)−東洋医学的療法1
体質に合った治療法で全身を改善
自分の「証」 見極めが症状ふせぐカギ
Q:東洋医学が花粉症によく効くと聞きますが?
A:もちろん、現代医学での治療も効果的です。抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤、とりわけステロイド剤は、とてもよく効きます。しかし、その分副作用も強く、取り扱いには慎重でなければなりません。東洋医学が花粉症によく効くということは、その場しのぎの治療に終始せず(もちろん有効な対症療法も備えている)その人の体質にあった治療法を選択するので、身体に無理なく、しかも的確に効果を表し、根本的に花粉症の治療をして行くのです。 Q:では、東洋医学では花粉症をどのように治療するのですか? A:まず、花粉症は典型的なアレルギー疾患の代表で、比較的近年(1960年代)に初めて報告され、その後、わずか40年間で爆発的に増加した病気なのです。一言に花粉症といっても、その症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ・目の充血など代表的なもの以外にも、いろいろな全身症状が現われるのです。そこで東洋医学では、その症状の現われ方の基礎にある「体質」に合った治療法を選択して治療するので、そのオリジナルの治療法が見つかるのです。 Q:東洋医学は治療に時間がかかると聞きますが? A:東洋医学(特に漢方薬)は時間をかけて治療するというイメージがあります。しかし、症状がかなり重い場合には、もちろん腰をすえて1年くらいはじっくり治療に時間をかける必要があるでしょう。しかし、比較的軽い場合には、花粉シーズンの1カ月くらい前からしっかりと治療を続けておくと効果的。すべてがすべて長くかかるというものではないのです。 Q:東洋医学の治療の特徴を教えてください。 A:4つに分けて解説しましょう。 @まずは単なる対症療法ではなく、体質改善の効果が期待できます。しっかりと治療を続けていますと、来シーズンには症状が出なくなる体質を作り上げられます。 A局所の症状だけではなく、全身の状態を改善することができるのです。 B現代医学で効果が少ない場合でも、効果をあげることができます。 C副作用が少ないので安心して治療にかかれます。 Q:東洋医学でいう体質とはどんなものですか? A:東洋医学では、全身の症状がその病気を考えるうえでの手がかりになるのです。例えば、同じ花粉症でも寒がり・手足が冷たい・寒冷の刺激でくしゃみ・鼻水が出る場合は「寒証(かんしょう)」、また、暑がりで手足がほてる、目が赤く充血する・黄色い鼻水が出る場合には「熱証(ねっしょう)」、さらに、疲労倦怠感が強く、気力が無いなどの場合には「気虚証(ききょしょう)」の花粉症となるのです。同じ花粉にさらされても、その人によって症状の出方に違いがあるのです。それはその人の体質によるのです。その「証(しょう)」(体質による証候)によって治療方法を決定して行くのが最大の特徴。したがって花粉症の治療を行うことによって、寒がり・暑がり・疲れやすいなどの全身症状も改善していくのです。まずは、自分の「証」(体質)を見極めるのが大切になります。
Q:花粉症になる人とそうでない人は、どこに問題があるのですか? A:例えばスギ花粉が大量に飛来していても、まったく症状の出ない人もいます。また、昨年までは平気だったのに今年になって急に花粉症になったという人もいます。逆に、あれほど辛かった花粉症が大した治療もしていないのにパッタリと治ってしまったという人すら見かけます。やはり上で述べたように、その方の体質(証)に問題があるのです。体質には、大きく分けて、一生変わらない基本的な体質と、刻一刻と変化をとげている後天的な体質とがあります。先天的にアレルギー体質の人も少なくありませんが、生活環境や食生活など毎日の生活によって作り上げられた後天的な体質がより問題なのです。 Q:その後天的な体質を改善するためには、どうすれば良いのですか? A:細かくは、その方それぞれにアドバイスが異なりますが、最大のポイントは @充分な睡眠をとる。 A規則正しく、栄養バランスの良い食事をとる。 Bアルコール、タバコをひかえる。 Cストレスをためない。 以上のことに日ごろから注意を払っておくと、花粉症にならない体質改善に役立ちます。 Q:現代医学の治療と東洋医学的治療は併用しても大丈夫ですか? A:心配ありません。むしろ、相乗効果があらわれ、今まで以上に症状が軽くなることはよく見られます。また、副作用を気にしながら強めの薬を服用しなくても済むこともあります。しかし、現代医学と東洋医学の併用は、もちろん花粉症のシーズンだけのことです。シーズンが過ぎたら東洋医学的な治療によりじっくりと体質改善をしておくと、翌シーズンには症状が軽くなったり、治ってしまうこともあります。 |