ペイオフ解禁
ここが知りたい
韓鐘哲
「自己責任時代」といわれる中、いよいよ4月1日にペイオフが凍結解除され、金融機関が経営破たんした場合、預金が必ず全額保護されてきた時代が終ります。ペイオフ(Pay off)は、もともと英語で「債務を完済する」という意味ですが、4月に凍結解除されるペイオフは、金融機関が破たんした場合、その金融機関に預けてある預金などを1名義あたり元本1000万円とその利息分を限度に政府出資の預金保険機構が払い戻す制度のことです。今回と次回の2回にわたって、読者から寄せられたペイオフ凍結解除に関する質問・疑問に答えながら、ペイオフの仕組み、今後の対応方法などについて解説していきたいと思います。
Q1 ペイオフの凍結解除は、どのように実施されるのですか。 A1 ペイオフの凍結は段階的に解除されます。2002年3月までは、どの預金も全額保護されます。2002年4月からは定期性預金などが、2003年4月からは普通預金などが解除の対象となります。 Q2 日本にある金融機関はすべてペイオフの対象になるのですか。 A2 日本国内に本店のある銀行、信用金庫、信用組合などの国内本支店に預けた預金などが対象になります。日本の銀行でも「海外支店」の預金などは保護の対象外です。また外資系金融機関は、日本国内に本店のある「在日現地法人」の預金などは保護の対象となりますが、外国銀行の「在日支店」だと保護の対象外です。 Q3 どんな金融商品が1000万円までの払戻しを保護されるのですか。 A3 1000万円まで保護する「預金保険制度」の対象となる金融商品は、預金(普通預金、定期預金、貯蓄預金、当座預金、定期積金など)、ビッグ、ワイド、貸付信託、割引金融債などです。対象外の金融商品は、外貨預金、譲渡性預金(CD)、ヒット、スーパーヒット、無記名の割引金融債などです。 Q4 保護対象の金融商品でも1000万円を超える部分や保護対象外の金融商品はどうなるのですか。 A4 1000万円を超える部分やこれに対応する利息、預金保険制度の対象となっていない金融商品については、破たんした金融機関の清算による配当に応じて払い戻されることになっています。しかし、破たんした金融機関が債務超過に陥っていた場合は払い戻しがカットされます。財産確定には1年前後かかりますが、破たん金融機関の資産の傷みが少なければ預金が全額戻る可能性もあります。 Q5 破たんした金融機関に預けてある預金はすぐに引き出せますか。 A5 預金の種類、破たんした金融機関の状況によって、引き出しが可能になる期間は違ってきますが、破たんした当日にすぐ預金をおろすのは難しそうです。2003年3月まで全額保護される普通預金なども1〜2日間、今年の4月からペイオフが解除される定期預金などは数日から数週間は解約、満期支払が全くできない見通しです。 Q6 破たんした金融機関に複数の預金があって1000万円を超える場合、保護の対象となる優先順位はあるのですか。 A6 複数の預金の合計額が1000万円を超える場合の優先順位は、@担保になっていないものA満期までの期間が短いものB満期日が同じなら利率が低いものを先に保護する仕組みになっています。(ハン・ジョンチョル、ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)
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