5月平壌 従対委主催、初の国際会議

日本の過去清算要求するシンポ

北南朝鮮、中国、フィリピン、日本、欧米
被害者、専門家、関連団体が参加


昨年3月には日弁連元会長を団長とする
市民代表が訪朝し、従対委と交流を深めた
(平壌市内で記者会見するメンバーら)


 5月初旬に平壌で「日本の過去清算を要求するアジア地域シンポジウム」が開催される。「従軍慰安婦」・太平洋戦争被害者補償対策委員会(従対委)が主催するもので、日本の戦争責任を求めるアジア各地の被害者と関係団体代表、法律家・研究者らとともに運動や研究の成果を確認・共有し、共同・連携した運動の可能性を探ることが目的だ。朝鮮で植民地支配をテーマにした本格的な国際会議が開かれるのは92年の従対委結成以来初めて。日本の戦争責任を求める海外の関係団体と手をつなぎ、日本政府に過去の清算を求めていこうという従対委の強い決意が込められている。

3つの分科会

 シンポジウムは5月3、4の両日にかけて平壌人民文化宮殿で行われる。1日目は全体会、2日目は日本軍「慰安婦」、強制連行・強制労働、日本の歴史わい曲・右傾化の3つの分科会を開催し、被害者の証言、各国代表、専門家の報告、討論が行われる。最後にアピールを採択し、国連や日本の首相あての文書も採択・送付する予定だ。

 参加は北南朝鮮、中国、台湾、フィリピン、インドネシアなど日本による植民地支配などの被害を受けた国の代表と被害者たちで、欧米の関連団体代表もオブザーバーとして招く。

 この10年間、日本政府に対して植民地支配の謝罪と補償を求める運動は国際的な広がりを見せている。国際的な連帯も深まりつつある。日本政府に謝罪と補償を求める数々の国連勧告、2000年12月に東京で開かれた日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷はその象徴だ。従対委はシンポジウムを通じて、この間つちかわれた国際的な連帯をさらに強化しようとしている。

元首相夫人ら呼びかけ

 日本では2月に従対委から招待状が届いたのを受け、同シンポジウム日本協力委員会(代表=土屋公献・元日本弁護士連合会会長)が結成された。呼びかけ人に三木睦子・元首相夫人、鈴木二郎・朝鮮人強制連行真相調査団日本側代表、竹内弘・元半田市長、俵義文・子どもと教科書全国ネット21事務局長ら12人が名を連ねている。

 同委員会は日本政府に過去の清算を求めている各地の運動団体や市民に広く参加をよびかけている。また、中国、フィリピン、インドネシアから参加する代表の旅費のカンパ、会議に必要なパソコンや複写機などの資材の提供や協力も訴えている。

 準備委員の有光健さん(戦後補償ネットワーク世話人代表)によると、従対委がシンポジウムを開くことにしたのは、近年日本で軍国主義化、右傾化が進んでいることが背景にあるという。昨年8月には日本政府が朝鮮在住の強制連行、日本軍性奴隷被害者の日本入国を拒否。これを機にシンポジウムの話が一気にまとまった。

 同委員会には昨年3月に朝鮮を訪問した「日本の戦後補償要求市民活動家代表団」(団長=土屋公献・日弁連元会長)のメンバーも名を連ねている。同代表団は訪朝した際、従対委、研究者、被害者らと対面し、今後の運動について意見交換してきた。92年に戦後補償問題の関係者が一度訪朝したことがあったが、それ以来、日本の市民団体との直接の交流は途絶えていただけに、従対委の歓迎ぶりは相当なものだったという。以来、同代表団メンバーは従対委と地道な交流を続け、朝鮮における被害の実態を知らせてきた。

 「6.15共同宣言後の南北朝鮮の和解と協力の動き、国連・反人種差別世界会議の共同宣言に植民地支配時の奴隷制が人道に対する罪であることが盛り込まれるなど追い風はある。シンポジウムを機に運動をより強力で実効的なものにしたい」(有光氏)

 日本協力委員会のメンバーは、「国交がない」という理由で阻まれがちだった日朝の民間交流をシンポを機に広げようと奮闘中だ。

◇日本から参加する場合の日程

 2日  新潟空港発、夜平壌着
 3日  国際シンポ1日目
 4日  国際シンポ2日目
 5日  平壌市内見学、夜は「アリラン」見学(希望者のみ)
 6日  新潟着

◇問い合わせ  シンポジウム日本協力委員会  〒102―0072  東京都千代田区飯田橋4―5―16―301、TEL  03・3237・0217、FAX  03・3237・0287  ※申込締め切りは3月29日  カンパは三井住友銀行飯田橋支店(普)0834931  「日本協力委員会」

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