朝鮮など7カ国に米が核使用計画、朝鮮マスコミの反応

核不使用公約、基本合意を反古に


 米政府が朝鮮をはじめロシア、中国、シリア、リビア、イラン、イラクの7カ国を核攻撃対象に定め、「限定核攻撃」に必要な小型戦術核兵器を開発しようとしていることが明らかになった。既報のように朝鮮では13日に外務省スポークスマンが米国とのすべての合意を再検討するとの談話を発表しているが、これと関連する朝鮮のマスコミの論調を紹介する。(朝鮮通信)

 朝鮮中央通信論評(12日)  この事実は、ブッシュ行政府が地球と人類を核の惨禍に陥れるための危険な核戦争準備を本格的に始めたことを示している。またブッシュ行政府の登場を前後して、米国の強硬タカ派の中で冷戦を復活させようとする好戦的傾向が限りなく強化されたのが決して偶然ではなかったことを立証している。

 米国の核戦争計画は人類の平和と安定に対する重大な挑戦であり、世界的範囲での核軍備競争を誘発し、朝鮮半島をはじめ世界の政治・軍事情勢を極度に緊張、激化させる反人倫的行為である。

 米国が20世紀中葉、原子爆弾を開発し、第2次世界大戦ですでに敗戦したも同然だった日本にそれを初めて使用してから半世紀以上、実施してきた冷戦政策遂行の基本原則の一つが核による恫喝政策であったことは周知のことである。

 しかし、米国の歴代行政府は国政世論を考慮し、自らの核政策を標榜するにあたって、米国の核兵器が戦争抑止力であるとの点を強調してきた。

 ブッシュ行政府は今回の報告書を通じて、核兵器と関連したこれまでのわずらわしい外交的公約から抜け出し、自らの一方的な判断にしたがって特定の国の任意の対象を任意の瞬間に核兵器で攻撃するという犯罪的企図を現実的な政策に転換させた。

 米国のブッシュ行政府が今回、核攻撃対象である7カ国にわが国を含めたことに対し、われわれは決して傍観しないし、強力な対応措置を取って行くであろう。

 米国が核兵器でわれわれを直接、公然と威嚇してきたこんにちの政治的・軍事的情勢は、われわれの自衛的国防力強化の努力がいかに正当なものであったかを改めて実証している。

 米国がわが国の任意の領土を日本の広島のように思い、核攻撃をしかけようとするなら、それこそ愚かしい誤算である。

 米国の核狂信者らがわれわれに核戦争を強いるなら、それは何よりもまず、核の惨禍の中で米国の破滅を意味することになろう。

 労働新聞論評(15日)  核戦略の焦点を一部の大国と自らの気に障る小国に向け、「有事」の際、核先制攻撃も辞さないとしたブッシュ政権の今回の核攻撃計画は本質上、冷戦時代の核戦略を再検討し、定立した21世紀の核戦略である。

 米国は核兵器を国家安保の柱とし、核兵器を先に使用する政策を実施するだけでなく、その範囲を小国、反帝的で自主的な国々へと拡大した。

 ブッシュ政権は、歴代の政権が順守してきた核不使用の保証公約を捨てた。米国の企図は、反帝的で自主的な国々を核で威嚇して一つずつ取り除くことだ。

 米帝は、核戦略の主な攻撃の矛先をわが国に向け、ここで力の対決政策を実施しようとしている。

 米国は、朝米基本合意文で核兵器を使用しない、核兵器で威嚇しないとわれわれに約束した。ところが、われわれが核活動を凍結している時に、米国がわれわれに反対する核兵器の使用可能性について公然とうんぬんしているのは、きわめて無責任な行動であると言わざるをえない。

 こうした事態に対処してわれわれは、米国とのすべての合意を全面的に再検討せざるをえなくなった。米国が、われわれに対する核兵器使用を追求し続けるならば、われわれもやむをえず、それに対応した実質的な措置を講じるであろう。

 われわれは、これまでの数十年間、米国の恒常的な核脅威の中で暮らしてきたし、それだけに核戦争にも万端の準備ができている。もし、米国がわれわれに核惨禍を被らせようとすれば、米本土も無事ではないだろう。

 労働新聞署名入り記事(16日)  米国は冷戦終息後も核戦略を依然として覇権主義、世界制覇のための鍵とみなしている。米国が核兵器を誰かの攻撃と脅威を防ぐ手段としているのは、自らの核戦力増強と核戦略実現策動を正当化するためのものだ。

 人類の頭上に核惨禍を被らせようとする米国の核戦争策動は昨日、今日に始まったことではない。

 米国で初の原爆実験が好戦狂のルーズベルトによって構想され、原爆の研究、製作に拍車をかけたトルーマンによって原爆実験が行われた後、初の原爆が日本人民の頭上に落とされ、朝鮮戦争で使う戦術核兵器の実験が推し進められた。続いて、アイゼンハワーによって朝鮮をはじめとする社会主義諸国に対して原爆を使用することに関する陰謀が22回も企てられた。その後、レーガンが「戦略防衛構想」として打ち出した宇宙の軍事化をめざす「スターウォーズ計画」とこの計画の変種である元米大統領ブッシュが持ち出した「輝く石」、その変種の変種であるこんにちのミサイル防衛システムの樹立など、米国の核戦略実現は続いている。

 現大統領ブッシュは、ミサイル防衛システムを樹立することにより、核の優位を達成し、米国の歴代大統領がかなえられなかった侵略目的を実現しようとしている。ブッシュが今回、核攻撃計画を作成させたのも、こうした野望に起因する。

 労働新聞論評(16日)  ブッシュ政権は最近、「地下対象物を破壊できる地下貫通核兵器の開発を目標とする3年間の研究活動を行うこと」を命令した。米国家核安全保障局局長のゴードンは下院で行った証言で、米国が今後10年間、各種のミサイルに搭載できる核弾頭の更新に総力を傾けるようになると公言した。また最近、米国務次官(安全保障担当)のボルトンがワシントンポスト紙との会見で、米国が核を持たない国に対しても核先制攻撃を加えることができると公言した。

 ボルトンの暴言は、ブッシュ政権の政策をそのまま反映したものだ。最近暴露された米国防総省の「核体制の見直し」秘密報告書によると、ブッシュ政権はわが国とロシア、中国をはじめ7カ国を核攻撃対象と定め、「限定核攻撃」のための小型戦術核兵器を開発することにした。

 これらすべてのことは、米国こそ核脅威の張本人であり、世界の平和と安全を危うくする人類のもっとも凶悪な敵であることを示している。

 われわれは、米国に対していかなる方式でも立ち向かうことのできる万端の準備を整えている。米国が身のほど知らずに騒ぎ立てている行動の権利は、米国だけのものではない。米国が、われわれを目標に露骨な核攻撃威嚇を加えている状況のもと、われわれはこれに対応した実質的な措置を講じるしかない。これは、われわれの当然の自衛的権利である。

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