春・夏・秋・冬

 金正日総書記は17日、朝鮮駐在のロシア大使の招きで、同大使館で催された祝祭に参席した。朝鮮中央通信によると、祝祭は「ロシアの伝統的な民俗祝日である謝肉祭」。この報道に接して、思わず「うーん」と考え込んでしまった。「ロシアの民俗祝日」という下りにである

▼というのは、たしかにロシア民族の多くはキリスト教(ロシア正教)を信奉し、小説や音楽などにも謝肉祭に触れたものは多い。が、旧ソ連時代の印象が強いせいか、謝肉祭は西側世界の祭だと思い込んでしまっていたからだ

▼謝肉祭は英語でカーニバルという。キリストの40日間の断食修行を記念した4旬節に先立ち、3〜8日間行われるもので、道化が出て仮面劇が上演されたりする。苦行前の歓楽を許容するものである。つまり謝肉祭、続いて4旬節、そして復活祭(イースター)という段取りになる。今年の復活祭は今月31日。ちなみに、広く知られたブラジル・リオのカーニバルは謝肉祭が転じた祭(「広辞苑」)だという

▼朝ロ関係の転換点となったのは2000年2月で、夏のプーチン大統領の訪朝によって大きく動いた。昨夏、その答礼として金正日総書記が訪ロした。こうした機会にロシアは6.15共同宣言の支持と、朝鮮との経済的側面の強化について言及してきた

▼ブッシュ政権の戦争瀬戸際政策が強まるなか、目はどうしても対米という構図のなかで朝ロ関係をとらえがちになるが、3大宗教の一つの祝祭に総書記が参席したという事実には、凡人では推し量れない何かが込められているのかもしれない。(彦)

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